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2010年12月5日日曜日

【その他】Repair a YAMAHA NS-05 Part 2

(YAMAHAの小型スピーカ・システム:NS-05の修理:Part 1は→ここ

Tweeter:25HP03の加工
 NS-05のTweeterと類似の形状と特性をもった代替品ではあるが、それ用に出来た物と言う訳ではない。 従って、多少の細工は必要になる。 この写真は25HP03の取り付け板の四隅をカットした(削った)様子だ。

 25HP03の取り付け板はオリジナルのJA05A2よりやや小さいが、角のRが小さいため縁に当たってしまう。 それで四隅を2mmくらい削る必要がある。だいたい写真の程度で良いようだ。 なお下側に見えるパッキンは削り量の目安のためにそのままにしておいた。装着時には同じ寸法にカットする。

25HP03:端子の引き出し
 25HP03の接続端子は小さなラグ端子になっている。 NS-05のデバイディング・ネットワークからツゥイータに来る配線は先端が5mm幅のファストン端子になっておりそのままでは接続に無理がある。

 ネットワークからの配線に付いているファストン端子(メス)をカットしてしまいツゥイータの端子に直接ハンダ付けする方法もあるが、ここではツゥイータ側に別の線を付けて5mm幅のファストン端子(オス)に変換した。ファストン端子はホームセンターのカー用品売り場で容易に入手できる。

 なおツゥイータの端子間隔は狭いのでこのように熱収縮チューブで処理しておくと安心だ。 オーディオは見えない所の見栄えや出来映えも大切だと思う。(笑)

 なお、写真にないがネットワークから来るファストン端子(メス)にも熱収縮チューブを被せてショート防止しておいた。

Tweeterの隙間を埋める
 大きなマグネットだった元のTweeterの穴が開いており、25HP03には大き過ぎるくらいだ。概ね取り付け板でカバーできるが中央部分のオーバーラップは少な過ぎる感じがする。 バスレフ型のエンクロージャではダクト以外の所で空気漏れがあっては旨くない。 隙間ができないよう幾らか穴を埋め戻しておく方が良さそうだ。

 三日月型に加工した木板を縁に接着しても良いが、ここではエポキシ・パテを使ってみた。硬化剤と主剤が「太い金太郎あめ」のような円柱状になっているものだ。 それを20mmくらいカットし、良く練り合わせ概略整形してから貼付ける。 硬化前は粘土状だから整形も自由自在だが混合から10分くらいで固化が始まり、30分もすれば刃物でも歯が立たぬほどの固さになる。必要な分量だけをとって混合し、始めたら手早く済ませねばならない。

 なお、Tweeterを付けてしまえばパテ埋め部分は見えないのでこのままでも良いかもしれない。しかし『オーディオは見えない所の見栄えや出来映えも大切』・・・なので黒くペイントして奇麗にお化粧しておいた。(^_^)

25HP03に換装完了
 あとは配線を接続しユニットをネジ止めすれば換装・修理も完了だ。

 NS-05はバスレフ型だが、内部には粗毛フェルトの吸音材が緩く詰めてある。たぶん定在波対策だろう。 吸音材はバスレフのポートと反対側、即ちツゥイータ側に寄せて詰めてあったようなので元の位置になるよう確認しておく。

 スピーカには極性がある。デバイディング・ネットワークから来た赤色の配線がツゥイータの赤色の端子に来るよう接続する。間違えるとウーファーからの輻射と位相が反転する周波数で打消しによるディップが発生する。

 取付けネジ穴は微妙にずれているのでドリルで下穴をあけておいた。エンクロージャは密度の高いパーティクルボード(ホモゲン)だからかなり固くて、穴の加工をしておかないと木ネジが入って行かない。なお、パーティクルボードはネジの絞め換えが利かないので注意を。 ネジの締め付けはパッキン材が多少潰れる程度で十分だ。 埋め戻したのでオーバーラップは十分にあってエアー漏れは防げる。 それにあまり強く絞めるとプラスチックス製の取付け板がタワんでしまう。 このあたりは機械的な強度に不満のあるツゥイータなのだが、安価なのでやむを得ないところだ。

オリジナルの周波数特性
 さっそく音を出してみた。試聴による確認でも十分なように思えたが、折角なので周波数特性を実測してみた。 但し、無響室や標準マイクロフォンがある訳ではないので、定量的な測定ではない。 要するに交換前後での特性比較と言うことになる。

 クロスオーバー周波数(3kHz)の上下で旨く繋がっているのかと、ウーファー側とツゥイータとの音圧レベルに大きな段差が無いかを比較により確認しておく。

 なるべく周辺環境からの反響が出ぬよう部屋の外まで持って行き、屋外へ向かって音を出してみた。 環境ノイズの影響が少ないよう音圧レベルを加減した結果、おおよそ1W程度のパワーを与えている。 測定中は不気味(?)なスイープ音でご近所には少々ご迷惑だったかもしれない。(スミマセン)

 マイクロフォンは一般的なエレクトレット型を使い、レベル管理とプリアンプを兼ねて電子電圧計(ミリバル)に接続した。 周波数特性の観測には低周波帯をカバーする方のネットワーク・アナライザを使ってみた。 今ではポピュラーになった『パソコン+オーデイオ測定用ソフト』でも十分だが、この際少しでもネットアナの稼働率を上げる目論みもある。(

 写真は正常なR側のユニットを測定した結果である。こちらがオリジナルの状態であり比較の基準だ。 周波数特性にディップやピークが複雑に見られ、平坦とは感じないだろう。 しかしスピーカ・シスユテムの周波数特性はおおよそこんなモノである。むしろ良い方と言うべきか? まあ、一応はHi-Fi用なので。

 なお、こちら側のユニットも測定の終了後に同じようにツゥイータ交換を行なった。

ツゥイータを交換したNS-05の特性
 こちらが故障したツゥイータを25HP03に交換した方である。 L側のユニットと言うことになる。

 上の測定と極力同じ条件になるように測定している。 中音域の繋がり具合やウーファーとのレベル差も感じられないのでオリジナルに近い性能が得られていると思う。 これは、このテストの前に実際の音出しの時すぐに感じたことである。

 周波数特性で気付いたのは15kHzあたりである。(写真:青の矢印部分) むろん相対的な比較測定なのだが、オリジナルよりも高域特性が伸びたようだ。 オリジナルのユニットは経年変化でハイ落ちになっていた可能性もある。長い間にドームの剛性が落ちればハイ落ちにもなりそうだ。 なお、データ整理していて気付いたのであるが15kHz以上で急速に落るのは使ったマイク+ウインド・スクリーンの特性である。 但し私の耳では良くは聞こえない範囲なので再測定はやめることにした。 新旧の相対比較なのでこれでも十分だろう。

 さらに交換したツゥイータにあった「すり鉢状」の部分に起因するらしいディップも見られる。この部分はホーンの一種と考えて概略計算するとその辺りにディップが発生しそうなことがわかった。

                ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 オーディオ機器は多様な音をじっくり聞いて最終的な判断をすべきだろう。 しかし、ある程度までなら測定器の助けで見分けることも可能だ。 むしろ最低限おさえておくべき基本の部分は測定による判定が向いている。 試聴で判断すべきは基本特性の更に上にある感性にかかわる部分にあるのではないだろうか? アマチュアのレベルなら『交換しました。良い音がしました』・・で済むのかもしれないが、それではちょっと物足りない。

 NS-05のツゥイータが断線した時点で幾つか選択肢があった。 捨ててしまうのもその一つだが、それは最後だ。 口径が120mmと小さなウーファーなのでデバイディング・ネットワークをパスしてフルレンジとして使うのも良さそうに思えた。 或はオークションで片側がNGのNS-05を待つと言う手もある。半年も待てば出て来そうだ。 しかし、それも芸がない話しなので代替品でどこまで行けるかやってみた次第だ。たまたま旨くマッチしそうなドーム型ツゥイータが存在したのは幸いであった。

 試聴結果は主観的表現になるので省略しようと思ったが少しだけ書いておこう。 暫く聞いた感じでは中・低域はまったくオリジナルのままだだと思えた。 周波数特性が伸びた関係か高音域が僅か華やかになったようにも感じる。オリジナルのちょっと眠い感じより寝覚めた気分だろうか。しかし、それはやや誇張した言い方だろう。 全体的な雰囲気はオリジナルのNS-05を損なわず、むしろ「変わり映えを感じない」と言うべきか。 何らかの変化を求め「改造」を意図したのではないのだから修理としては大成功だろう。 もちろん左右両側ともに交換したが、新旧を混ぜても違和感はないくらいだった。

 またもや特殊なモノの話しで単なる備忘録になってしまったようだ。 もしもツゥイータの飛んだNS-05があるなら交換してみると良い。僅かの費用と手間でうまく復活させることができたようだ。 他のスピーカ・システムでも同じように旨く行くのかはわからないが、やって見るくらいの価値はありそうだ。エンクロージャのサイズ・形状に影響を受けにくいツゥイータの交換は旨く行く可能性が高い。  de JA9TTT/1

(おわり)

2010年12月1日水曜日

【その他】Repair a YAMAHA NS-05 Part 1

YAMAHA NS-05 Speaker
 写真はヤマハのNS-05と言う2ウエースピーカシステムである。すでに20年くらい経過している。数年前にリサイクルショップで見つけ、その後暫く聞いていた。購入直後のチェックでは左右とも特に異常はなく、大切に使われていたらしく外観も奇麗であった。 その後部屋の整理の都合で仕舞われていた。

 コンパクトなシステムながらも拘りを持って作ったスピーカらしい。 コーン型・ウーファー(120mm)もドーム型ツゥイータ(30mm)も大型のアルニコ・マグネットを使ったユニットが使われている。2個で10kgを軽く越えるので大きさの割にズッシリと来る。価格(1988年当時)は左右一対で¥58,000-だったそうだ。
 
 もともと多目的スピーカとして購入したものであるが、すっかりBGM用に定着してしまった。 120mmウーファーでは本格的Hi-Fi用には少々物足りないのは確かだ。 しかしSpecやお値段ほか何の情報や先入観もなしに鳴らしてみたら思いのほか良かったのだ。

Tweeter
 購入直後の確認では左右どちらも大丈夫だった。 ところが暫く振りに音を出したらすぐ異常に気付いた。 左側スピーカは高音が出ていないのである。 古いこともあると思うが、安価だったので間欠的に不具合(=半断線)が起こっていたのかもしれない。

 ネットでサーチしてみると、ツゥイータがNGになったNS-05の話しには結構ヒットする。 音に拘ったツゥイータだったのだろうが、耐環境性能では劣っていたのかもしれない。 定格耐入力は40Wもあるから一般家庭のBGM程度でオーバードライブする可能性は低いだろう。自室で聞いていて平均パワーは1Wもないくらいだ。だからツゥイータを飛ばしてしまったとは考えにくい。 どうやらボイスコイルと引き出し線の接続部分で断線が起こり易いユニットのようだ。

 写真では左に交換用のツゥイータ:25HP03を置いてみた。オリジナルのドーム径は30mmである。交換用は25mmなのでやや小さい。 オリジナルのようにドームが突出した構造は指向特性で有利だ。しかし事故の危険があるので普通はバリアを設けるべきだろう。 もっともバリアによっては何がしか音響特性に影響があるかもしれない。それを嫌ってかNS-05ではむき出しである。 交換用の方はドーム部分を窪ませることで危険を減らす工夫をしたようだ。但し「すり鉢状」の部分で音響特性に何らかの影響があるかもしれない。

 並べて置いた感じでは、取付け板の寸法もあまり違わないので旨くフィットしそうだ。
 
マグネット比較
 裏面の写真である。 左はオリジナルのユニット:JA05A2である。右が交換に使う25HP03だ。 アルニコ・マグネットを使い防磁型になっているJA05A2は重くて如何にも良さそうだ。 それに比べ25HP03のマグネットはとても小さい。完全防磁構ではないらしいので簡易な磁気シールドなのだろう。 おまけに取付け板がプラスチックス製なので一層軽い。

 3kHz以上を受け持つユニットである。ボイスコイルの振幅も小さいから、十分な磁力を持つマグネットなら厚みは小さくても十分だろう。 実際に単体で音を出してみた感じからして効率も悪くなさそうだ。 案外ネオジム・マグネット使用と言うのは本当なのかもしれないと思えて来た。(笑)

【参考:NS-05のウーファー】
 この修理では関係ないが使われている120mmウーファーである。同じようにアルニコ・マグネットを使っており、防磁型なのでがっちりシールドされている。 低域〜中域の3kHzまでを受け持っている。エンクロージャと共に本機の音色の殆どを決めてしまう重要なユニットである。 コーン部分には高音カットの構造もないようで見た感じフルレンジに近い印象だ。再生帯域は案外広いのかもしれない。

 内部のマグネットサイズまで伺い知ることは出来ないが耐入力電力から見て振動系はロング・ボイスコイル型であろう。 振動系の質量は大きめになるはずだから磁気回路を強化して効率を上げていると思う。かなり大きめのマグネットなのではないだろうか。 コーン紙はポリプロピレン樹脂製で軽量かつ剛性に優れしかも大きめのロール型フリーエッジが付いている。ダンパーも大きな振幅に耐えられるブックシェルフ型SP用の構造・形状だ。

【参考:デバイディング・ネットワーク】
 たいして高級なスピーカ・システムではないので、デバイディング・ネットワークはそこそこである。 12dB/octのLC型になっており、クロスオーバー周波数は公称3kHzである。

 コイルはフェライト磁芯入りでコンデンサはノンポーラ型ケミコンのようだ。 本来は見えない部分なので部品や構造はそれなりであるが、接着剤でガッチリ固めてあるのは素人細工のユニットとは違う部分だ。 こうした部品や配線は強固に固定されていないと何処かの周波数で「鳴き」が出る。 音を鳴らすと異音のする困ったスピーカシステムになってしまう。 接着剤には硬化後も柔軟性を保つゴム系が使ってある模様。 自作スピーカ・システムでも見習いたい部分だ。

取付けの検討
 本題に帰って交換品を仮置きしてみた。 取り付け板の縦横がやや小さいが多少の細工で旨く収まりそうである。 元のユニット用に大きなマグネットの穴が開いているので少し埋めた方が良さそうだ。

 真っ黒なユニットなので、オリジナルのイメージとはだいぶ違ってしまう。 しかし使用時にはサランネットを被せてしまうので気にはならないだろう。もちろん前のように良い感じに鳴ってくれればの話しだ。

                 −・・・−

 この際修理なんかするよりも新しいのを買った方が良いのかもしれない。 しかし廃棄してしまうのも勿体ない話しだ。 考えてみたら昔っから各社のスピーカ・ユニットを組み合わせたマルチウエー・スピーカ・システムを自作するのは普通のことであった。 だから類似したユニットを揃えればそこそこ性能の再現はできるだろう。エンクロージャ(箱)の形状寸法はツゥイータにはあまり影響を与えない。それにソフトドーム型スピーカは思ったよりも没個性的なものだ。手頃なユニットも見つかったのでやってみることにした。 de JA9TTT/1

つづく)←続きへリンク

2010年11月14日日曜日

【部品】Dome Tweeter 25HP03

【ドーム・ツゥイータ:25HP03】
 スピーカ修理の話しである。 写真はART Audioと言う聞いたことのないブランドのチープなDome型Tweeterである。Tweeterが高音域用スピーカなのはオーディオをやらなくても知っているだろう。

 後ほど登場するが、2-Wayスピーカの高音域を受け持つTweeterが片側断線してしまった。音域を広くするためかデリケートなユニットらしい。過大な入力とかではなくても(経年変化で?)故障するようだ。 しかも古いものなのでメーカーも面倒は見てくれない。やむをえないので市販ユニットに交換して修理を試みることにした。

 このTweeterはφ25mmのドーム型である。断線したのはもう少し大きなφ30mmである。どちらもソフト・ドームなので音色は類似しているはずだ。またクロスオーバー周波数も3kHz(12dB/oct)と高めにとってあるから再生域に心配はない。φ25mmのドーム型ツゥイータの再生下限は2kHzあたりにあるからクロスオーバーとの関係も丁度良い。(実は、この安物ツゥイータには何にも仕様書が付いていないのだ・笑)

 音色のほか気になるのはインピーダンスと音響効率であろう。 インピーダンスは公称6Ωだが周波数によって変化するものだ。従って公称値がほぼ同等なら支障はない。 むしろ音響効率の方が重要だ。低域側スピーカと違い過ぎるとクロスオーバー周波数でうまく繋がってくれない。効率は振動系の質量や磁気回路の性能でかなり違って来る。 Tweeterの方が高効率ならアッテネータで合わせる事は可能だ。それが逆だと厄介であるが普通はあるまい。

【25HP03のマグネット】
 フェライト・マグネットが使ってある。ネオジム・マグネットだそうだが、見た目は普通のフェライトなのでどうもウソっぽい。(笑) 通販品が届いたとき、余りにも軽いので心配になった。 φ25mmの高音用なので大きなマグネットは必要ないと言えばそれまでだろう。しかしスピーカの磁気回路は強力な方が効率が良いのも確か。

 これが振動系の質量が大きな低域用スピーカならダンピングにも関係するのでマグネットは大きい方が明らかに有利だ。コーン紙の口径ばかり大きくても、マグネットが貧弱ならそのスピーカは安物だろう。

 秋葉原で見かける無名スピーカ・ユニットにも時々良いものがある。コーン型SPならエッジ部分とマグネットに着目する。それでそのスピーカの性格(用途)がわかるくらいだ。 無線機に良いスピーカは不要と言う人がいるが、正しく音質レポートを返すためにもクセのない良いものが欲しい。 逆にCW専門なら妙な共振さえなければフィルタ的な周波数特性が良いのかもしれないが。 なお、これから修理するのは無線機用ではなくて一応はHi-Fi用だ。(笑)

 秋葉原に出掛ける暇がなかったのでコイズミ無線の通販を利用した。どんなTweeterなのか現物を見るまでは心配だったが単体テストしてみたら思ったよりも良さそうだ。表から見た感じも悪くない。(@¥1,450-) 交換したらあらためてレポートしてみたい。 de JA9TTT/1 

つづく)←続きへリンク


2010年11月9日火曜日

【書籍】The ARRL Handbook 88th ED

【ARRL Handbook 2011】
 2011年版ARRLハンドブックが届いた。先日Amazon.co.jpに注文しておいたものだ。円高の恩恵を受け、¥3,837(税込み)であった。ここで言う税金とは消費税のことである。送料は無料だ。

 現在、米ARRLのWebではボーナス・プライスの$49.95-でハードカバー版(通常$59.95-)が購入できる。もしハードカバーが欲しいなら直輸入も良いだろう。しかしソフトカバーで良いなら、送料いらずのAmazon.co.jpからの購入がお得だ。

 肝心の中身だが、前のHandbookを買ってから10年以上経過しているなら非常に目新しく感じるはずだ。 しかし昨年購入したのなら代わり映えしないのでガッカリするかもしれない。ARRL Handbookは2010年版から編集方針が大きく変化した。2011年版はその方針を継承している。おもに情報を追加したマイナーチェンジ版のイメージである。分厚い電話帳のようなボリュームの1,416ページだ。

 現在のアマハンは各章ごとにハンドブック(=便覧)らしくまとめられている。以前のような『製作記事』は少しになり『無線機製作読本』の性格は薄くなっている。(もちろん、非常に面白い製作記事も依然残ってはいるのだが・・・)


【Do-It-Yourself:Wireless Technology】
 Handbookとして力を入れている部分はどこか? 要するに便覧(ハンドブック)らしく自作や HAM局の運用に必要な幅広い情報が掲載されている部分だろう。 あたかもハンドブックを見ればHAMの大抵の事がわかることを目指しているような総合的な解説書の色合いが強くなった。

 回路理論の解説は勿論だし電子デバイスの基礎も網羅している。 そして新しい所では表面実装部品の扱い方も詳しい。それに合わせた基板ランドパターンの例なども載っている。温故知新な記事もない訳ではないが、新しい情報にも結構敏感なのだ。

 もちろん昔ながらの同軸コネクタの結線方法も健在だ。どこぞの国のようにM型コネクタさえマトモに組立てられないHAMの大量発生を防ぐ配慮であろうか。(笑)

 裏表紙:Do-It-Yourselfのフレーズはアマチュア無線を的確に表現していると思う。 電気通信が進歩した現代において、単に機器を入手し通信するだけならスマートフォンやi-Padの方が気が利いている。 では何がアマチュア無線の面白味かと言えばD-I-Yにある。たとえ無線機は購入したとしても、より良く通信するにはアンテナと言った部分にD-I-Yは不可欠だ。

 免許や法令の範囲内とは言え、電波形式、周波数、電力・・・そしてアンテナの素材・構造や通信機器の内部に至るまで、自身で幅広くチョイスできるのはアマチュア無線:Ham Radioだけである。 D-I-Yした無線機でオンエアなんてプロの通信士にも認められていない。 その部分を捨ててしまったのでは面白さも一緒に捨てたに等しいと言うことなのだろう。 de JA9TTT/1

(おわり)

2010年10月30日土曜日

【部品】X-tals to small, too small !

20MHzのクリスタル
 電子部品の小型化は著しい。つい最近まで小型部品と思っていた物がいまではすっかり巨大な部品になっている。

 水晶振動子(Quartz Crystal/X-tal)の世界も例外ではない。写真に大きく写っているHC-18/U型もFT-243型やHC-6/U型よりもずっと小型化された「半導体時代」のクリスタルだと思っていた。

 さらに内部構造は研究改良され、おなじATカット水晶片でも小さな短冊状に作れるようになる。左のHC-49/USにはそうした振動子が使われている。コンピュータを使った振動解析の成果が活かされた結果だという。(HC-18/Uには大きな円板形水晶片が使われている)

 いまではコンピュータ設計と微細加工の技術進歩により一層の小型化が進行しており、写真中央の面実装型ですら最先端ではないのだ。 こうなってしまうと扱いにもピンセットが必要でハンダ付けも容易ではない。もはや手作りでは対処できなくなりつつある。 まさしく" too small "なサイズだ。 ちなみに外形サイズは3.2×2.5×1.0(mm)である。


リール巻き
 表面実装部品になった小型水晶振動子はこのようにテーピングされており、機械で実装するのが常識だ。 この振動子は京セラキンセキ社製だったと思うが、各社共通の形状寸法で供給されている。 特殊な物ではなく移動体通信機器用の共通仕様の部品なのだ。 そして今では秋葉原の秋月電子通商でも扱っているごく普通の電子部品になっている。

 一般に周波数精度は良好であり、バラツキも少なく出来ている。昔の通信機の様に組立て後に周波数調整する製造工程は省略されているので初期精度(バラツキ)が厳しく抑さえられているのだ。いまの携帯電話機には大きなトリマ・コンデンサを載せる余地などまったくありませんからネ。

 従って我々が使う際には有利な筈で無選別でも良い性能の「ラダー型フィルタ」が作れる。 もちろん表面実装用の基板を製作し結合コンデンサにも表面実装型を使う。そのように作れば指先サイズで「高性能クリスタル・フィルタ」が作れそうだ。 表面実装部品を毛嫌いせず、ジャンク屋を覗いたら良く探査しておくと得をする。

 もっとも小型水晶振動子は良いことばかりではない。 大きな信号レベルは不得意だ。発振回路に使う際は過剰な水晶電流が流れぬよう十分な注意が必要だ。 真空管回路などもってのほかだろう。 トランジスタ回路でさえもVcc=12Vは危険かもしれない。最悪、振動子が物理的に破損してしまう。

 同様にフィルタに使う際も信号レベルはデリケートだ。 水晶振動子はあくまでも機械的な振動である。強力な信号では振動子がリニヤな振動範囲を超えてしまい非直線歪みが発生する。 即ち強い多信号がフィルタを通過するだけでIMDが発生してしまうわけだ。 特に物理的に厚みが薄くなる高い周波数の水晶振動子は結晶が「強電界」に曝されてしまう不利がある。そうした意味でも最新のクリスタルは" too small "なのだ。

 Kenwoodの最新トランシーバ:TS-590Sのルーフィング・フィルタが低い周波数に移っているのも、あながちコストの問題だけではなく、その裏に「(安価で)高い性能の実現」があるのかもしれない。(もちろんこれは想像なんだが・笑)
 低い周波数で「ルーフィング・フィルタ」なんて気取ってみても、昔のTS-820やFT-901の時代に帰って、1st-Mixer直後の狭帯域フィルタじゃないの?・・・なんて笑い声も聞こえてくる。まあ、それもそうなんだが1st-Loを複雑なPLLはやめてC/Nの良いDDSで直接得るとか、無線機としての進化を感じさせてくれる。

(おわり)

2010年9月26日日曜日

【回路】Staircase waveform Gen.

UJT:Uni Junction Transistor
 UJTとはその名の通り「単接合トランジスタ」あるいは「ダブル・ベース・ダイオード」とも呼ばれる半導体素子だ。1950年代半ばに米General Electric社によって研究開発された。

 増幅用素子ではなくもっぱらパルス回路で使われる。 もともとはSCR(サイリスタ)の点弧パルス(トリガーパルス)の発生がおもだった用途であった。従って、今でもSCRを使った簡単な調光器回路などで見かける事がある。

 また、数個のCRとUJT単独で「弛張発振器」(しちょうはっしんき)が構成できるので簡単な発振器に使う例も多い。 UJTの2つのベース:B1とB2の間にDC電圧を与えておくと、エミッタ:EとB1間の電圧電流特性に負性抵抗特性が見られるようになる。 その負性抵抗特性を使って弛張発振させる。発振波形はCRの充放電によるノコギリ波あるいは狭いパルス状である。(正弦波ではない)

 弛張発振器の原理は、鹿脅し(ししおどし)の動作原理と似ている。細い流水が竹筒に溜まり、水位がある限界点を越えると一気に排水されると言う動作を繰り返す。同じように竹筒に相当するコンデンサと言う「容器」に電流を流すと電荷が蓄積し電位が上昇して行く。その電位が敷居値を越えると電荷を一気に放電させる仕組みが働き容器(コンデンサ)は空になる。蓄積した電荷を一気に放電させる仕組みをUJTが掌っている。そして再び電荷の蓄積と放電を繰り返す。これが弛張発振である。(追記:2013.04.29)

 昔は重宝だったデバイスもICの発展とともにすっかり廃れてしまった。 それはSignetics社が開発したTimer 555(NE555)のような便利なICが安価に供給されたからである。 回路設計の自由度が高いばかりか発振回路に使って得られる波形も良好なためUJTが使われなくなったのはもっともだろう。

 写真は、NEC製の2SH12と中国製のBT33Fと言うUJTである。何れも類似の用途に使えるがピン接続は異なっている。 現在ではすっかり『珍し系の半導体』になってしまった。 同じ目的・用途に対して今では他の手段がたくさんあるのでUJTで無くてはならぬ用途は僅かだろう。 しかしごく簡単な目的には使い道もあると思いつつ少量の手持ちがある。 どうも出番はない感じなのだが。

Staircase waveform generator:階段波発生器
 UJTを使った教科書的な「弛張発振器」は幾らでも目にするので目新しくもない。 しかしこの例では階段波の発生に使っていて、どの様に動作するのか興味を覚えた。

 Staircase waveform :階段波とは、例えばある一秒間が1V、次の一秒間2V、その次の一秒間が3V・・・と言うような時間に対してステップ状に電圧が変化する波形のことだ。オシロスコープで見るとまさしく階段状の波形が観測できる。 ある段数に達するとリセットされて最初の段から再び繰り返すことが多い。 もちろん下り方向の階段や、天辺あるいは谷底に到達すると戻ってアップ・ダウンする階段波もある。

回路動作の概要】 2つのUJTをそれぞれ異なった用途に使っている。
 1つ目のUJT:Q1は階段1段あたりの時間を決める弛張発振器である。 一定間隔で狭い幅のパルスを発生するのが目的だ。この例では10mSごとに発生する。 この狭いパルスによってPNPトランジスタ:Q2の定電流スイッチを駆動する。 Q2を通った瞬時の一定電流は電荷QとしてコンデンサC2にチャージされる。 V=Q/Cでチャージが繰り返される毎にC2の端子電圧Vは階段状に上昇して行くことになる。
 2つ目のUJT:Q3は階段の段数を決める役目だ。 C2の端子電圧Vがある電圧を越えた瞬間にQ3のE・B1間が導通し溜まっていたC2の電荷を瞬間的に放電する。 瞬時に階段はリセットされて最初の段から再び始まることになる。その階段の段数はVR3で加減する。
 Q4とQ5はC2の端子電圧を取り出す為のバッファアンプである。コンデンサに溜まった電荷を引き出す・・即ち電流を取り出すとサグが発生してしまう。その影響を軽減する為にダーリントン接続になっている。 ダーリントン接続でもベース電流はゼロではないが、C2の電圧降下はごくわずかなので支障無いわけだ。いまならバッファ・アンプにFET入力のOP-Ampなどを使えばベストであろう。

 なお、この回路は1970年代始めころのものである。未だICは一般的でなかった時代なので当時得られたデバイスを巧みに使い、ごく僅かな素子(部品)で目的の波形を得る工夫には面白味を感じる。IC万能の現代に於いてはむしろ新鮮でさえある。

ブレッド・ボードで試作
 この回路の具体的な活用はあまり意図しないので取りあえずブレッド・ボードで試作してみた。 実際旨く動作するのか興味を覚えたからだ。 ブレッド・ボードの扱いはあまり慣れてないので部品配置の真似はしないように。(笑)

 左の光っているトランジスタが弛張発振器のQ1である。 電流スイッチ:Q2はマイラ・コンデンサC2の影になって見えにくい。 その右の方にある光ったトランジスタがリセット用のUJT:Q3である。 一番右の黒いトランジスタがQ4 とQ5である。 この試作では内部でダーリントン接続になっている2SC982を使っている。従って見かけ上はトランジスタ1本で済んでいる。 回路図のように2SC1815を2つ使ってダーリントン接続してもまったく同じだ。

 こんな回路を作る人もまれとは思うが検索で来るお方もあるので、以下念のために書いておく。 この回路の部品入手は思ったよりも容易である。 唯一珍しい部品であるUJT:BT33Fは「イーエレ」と言うお店から通販で購入した。 このUJTは中国製であるが、大陸方面では広く流通しているらしい。 同店で現在でも単価110円で購入できる。

 もちろん国産のUJTでも良いが殆どがディスコンなので入手しにくいと思う。幾つかのお店に在庫があるようだが100円では買えないようだった。 むしろ2N型番の米国製の方が入手容易かも知れない。いまでも生産している会社があるからだ。2N2646ならRSコンポーネンツにもあるようだ。 なお必ずNベースのUJTを買うこと。(PベースのUJTは珍しいようだが・・) UJT以外で集めにくい部品は無いと思う。 部品を揃えて1時間くらいで完成できる。(ブレッド・ボードに製作の場合)

出力波形
 5段の階段波形である。 1段あたりの高さは1Vになるように合わせた。この高さは回路図のVR2で加減できる。 また1段あたりの時間は10mSであるが、これはVR1で加減できる。

 階段の段数はVR3で変えられるが、1段あたりの電圧を1Vにした場合、正常に動作するのは6〜7段までであった。 もっと段数が必要な場合は、回路定数を見直すか1段あたりの電圧を1Vよりも小さくする必要がある。 一番下の段もUJTのONオン抵抗の関係でゼロまでは下がり切らない。オフセットを持っているのでDC結合で使う場合は目的によって注意が必要だ。

 写真のように、オシロスコープでの観測ではなかなか奇麗な階段波が得られている。 階段波は簡易なA/Dコンバータの構成要素に使われるほか、ステップ状の電圧が欲しい用途では一般的に使われている。 DCアンプのリニヤリティ判定に使うこともあるようだ。 無線での用途は特に思い付かないが、エレクトロニクスの分野ではそれなりのニーズがある。

 ところで写真を見るとまずまず良さそうなのだが、もとがUJT式では性能の限界を感じる。 たった5石の簡単な回路なので仕方ないだろう。 もし改善を目指すならこの回路の高級化ではなく、D/Aコンバータをベースにしたデジタル・アナログな回路の方が最適化し易い。

 すぐに役立つような物でもないが、回路実験としてはUJTの動作がわかってなかなか面白かった。同時に先人のアイディアには感心させられた。 パーツボックスにあったUJTを見ていて、何か面白そうな活用方法はないかと思った次第。 こうした「真面目な回路」(?)よりも昔からある玩具のような電子回路に向いているように思えた。

【追記】アイディアの源泉は?
 この回路の前には別の階段波発生回路があった筈だ。たとえば普通のTr(=BJT)だけで考えるとすれば、まずは2石の「アステーブル・マルチバイブレータ」で連続した矩形波を発振させる。その矩形波を「CR回路で微分」し狭いパルスをつくる。その狭いパルスで「電流スイッッチをON/OFF」すれば上記回路図のQ1とQ2の部分に相当するので階段波が作れる。段数を決めるリセット回路はTrを使った「差動コンパレータ」+「リセット・スイッチ」が良いだろう。なお途中にシュミット回路を入れる必要があるかもしれない。このようにすればまったく同じことは可能なのだが部品数は遥かに多い。こうした階段波発生回路の構成にUJTをうまく適用する方法はなかなかのアイディアなのである。(2010.10.15)

(おわり)

2010年9月18日土曜日

【部品】Modern RF ICs :Part 2

 新しい高周波用ICを紹介するPart 2である。 前回:Part 1アナログなチップにつづき、今回はデジタルなチップを扱う。 既にお馴染みの機能を持つICばかりだが一段と高性能化されている。

μPB1509GV
 シンプルなプリスケーラ用ICである。 分周数は1/2、1/4、1/8に切換えできる。 PLLのプログラマブル・デバイダを想定したものではないらしくシンプルな分周比である。 従ってフリップ・フロップが三段並んだ単純な構造だ。

 上限周波数は分周数で変化する。 1/2分周のとき、700MHzまで、1/4のとき800MHz、1/8では1,000MHzである。 なお保証された下限周波数は50MHzとなっている。 実際にはそれぞれマージンがあって入力電圧次第ではさらに広い周波数で使える。(左図のグラフ参照) ピン・ピッチは0.65mmである。 ハンダ付けは少し厳しいが変換基板でも何とかなる。 理想を言えば専用の基板設計だが敷居が高いだろうか?

μPB1509GVの応用例
 単純なプリスケーラのICなので、左図を見れば容易に使えるはずだ。 SW1とSW2端子のON/OFFで分周比を切り替える。 分周数を切り替えないなら固定設定で良い。

 電源電圧は2.2〜5.5Vと広く消費電流は5.3mA(5Vの標準値)と小さい。1GHzまで分周可能なプリスケーラとしては随分省エネである。昔のECLプリスケーラ(11C05とか?)はパッケージが熱くなるほど電流を喰らった。たったの5.3mAだから電池電源の機器にはとても有利だ。

 微細加工で作った小型でfTの高いトランジスタが使ってある。少ない電流で高性能を得るには微細化が有利なのだ。 そのかわり外部からの電気的ストレス、例えば静電気放電にはデリケートだから注意深く払うべきだろう。 もちろんAC電流がリークしてるようなハンダ鏝(真空管用?・笑)は厳禁だ。

MB1507
 富士通製のPLL-ICである。8ビットのパルス・スワロー型プリスケーラを内蔵しており2GHzまで直接扱うことができる。 プログラマブル・カウンタは11ビットである。合計で19ビットカウンタとなる。 基準周波数(リファレンス)のカウンタもプログラマブルになっており、14ビットでN=8〜16383が選べるほかプリスケーラのON/OFF SWも付いている。 基準用の水晶発振回路も内蔵する。(外部供給も可)

 いすれも分周数はシリアルデータとして送り込んでセットするが、PICなりAVRマイコンとのインターフェースは簡単な3線式で済む。 データ転送のプロトコルもシンプルだからマイコン側のデータ転送プログラムも単純なものになる。

MB1507の応用回路
 見ての通り、標準的なPLL用ICである。 使い方においては旧世代と違いはない。 左図では内部と外部のチャージポンプを切換えられるようにしている。 真意はわからないのだが、C/Nの関係で少しでも電圧を高くした外部回路を使う方が有利なのかも知れない。このあたりはどの程度の違いがあるのか要確認だ。 CATVチューナではC/Nが良いようにVCOのバリキャップ部分に24V電源を使うこともあるのでそのような想定なのかも知れない。

 電源電圧は5Vで良く標準的なマイコン回路と直結できる。 消費電流も標準で18mAだから省エネである。バイポーラICの超高周波特性とC-MOSの高集積度を活かしたBi-CMOS構造で作られている。このあたりは富士通のお得意分野らしく、他にも様々なPLL用ICが開発されている。

 図の様にこのMB1507とループフィルタ、そしてVCOを外付けすればPLL式周波数シンセサイザの完成だ。 DDS全盛であるが高い周波数ではまだPLLの方が有利なので補完しながら適材適所で使われて行くのであろう。

LVCO2408T
 LVCO2408TはICと言うよりも回路モジュールと言うべきだ。 400MHz前後の周波数を発振するVCOモジュールである。 430MHzのハムバンドもカバーするから目的周波数をいきなり発振させて数ステージで送信機が作れる。 FM変調の専用変調端子があるので変調も簡単に掛けられる。

 もちろん、VCO回路自身は自励発振回路なので周波数の安定度は期待できない。PLL回路を構成する必要がある。 VHF帯のVCOは案外部品選定が難しいもので、こうしたモジュールが便利だ。 シールドされコンパクトなのでノイズの誘導も少ないから高C/Nが期待できる。

LVCO2408TのVCO特性
 メーカーの資料は既にWeb上に無いようで詳細はわからないようだ。 JO3DTY 山本さんから実際にテストした結果のご提供があった。(左図)

 図の様にVt=0〜10Vで375MHz〜500MHz以上の周波数可変範囲があるようだ。 チューニング電圧:Vtに対する周波数変化も概ね直線的なのでPLLにおけるループフィルタの設計には好都合だ。

 単体での発振実験によればPLLのループ内に入れない状態でも周波数は割合安定しているそうだ。 ごく簡単な信号源に電圧可変型の自励発振器として使う用途も考えられる・・・と言うレポートも頂いている。

LVCO2408Tの使い方
 企業買収あるいは事業売却が繰り返えされたようでオリジナルのVARIL社は既に消えているようだ。 事業はRFMDと言う会社に継承されている様だが、このVCOは製造が終了している。

 左図にわかった範囲の情報を記入しておいた。 実験レポートによれば電源電圧は5V、チューニング電圧:Vtは〜10Vで問題なく使えるようだ。 Gndを含めても5つの端子接続なので扱いは難しくないだろう。

 端子ピッチは一般的なICと同じ2.54mmである。リードレスだがパッケージのエッジ部分でハンダ付けできるので実装は難しくない。基板設計して面実装がベストだろうが裏返して生基板上に実装すると言った方法も良いだろう。

LVCO2408TとμPB1509のテスト風景
 これは一連のRF-ICをご提供頂いたJH9JBI/1山本さんがご自身で実験された基板の様子だ。 中央にLVCO2408Tが見えその右にプリスケーラのμPB1509が実装されている。

 400MHz帯を1/8分周して50MHzを得る実験だそうだ。 VCOには変調端子があってFM変調を掛けられるが、1/8分周すると浅い変調になってしまう。 NBFM用として適切か否か確認が必要とのこと。十分な変調度が得られるなら50MHz帯の簡易FM送信機が作れそうだ。

               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 以上、Part 1と合わせて、全5種類のRF用IC/モジュールを紹介した。 いずれも移動体通信機器に使われたものだろう。 こうしたRF用ICも現在は一段と高集積化されておりシステムがワンチップ化している。 従って機能ブロックに分けて利用・活用するのは難しくなってしまった。

 紹介した5種類のICではまだ機能が分割・独立したブロックになっていた。 このため紹介したような活用も十分可能だった。 多種多様な移動体通信機器が作られ、また専用のICも誕生したので多品種のRF用ICが余剰しているいる筈だ。 それらはいずれも紹介される機会はなく、当然我々の利用実績も皆無なのでまったく着目されないのである。

 このあたりのチップが旨く活用できたなら面白い機器が作れるにちがいない。利用者が多くなれば、ジャンク部品の流通も始まるだろう。 おそらく今はそのままゴミとして処分されるばかりだからまったく勿体ない話しだ。

               ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

新世代RF-ICの配布案内
 こうした部品は触ってみるのが一番だろう。

 希望者はご自身の住所・氏名を書き、切手を貼った返信用封筒お送り頂きたい。折り返しPart 1とPart 2で紹介した5種類のチップをお送りする。ICはもちろん無償である。 定形外郵便になるので返信用封筒には切手120円分を。封筒は普通サイズで大丈夫だ。

 活用の義務はないが電子部品は使ってこそ意味があるので、単なるコレクションはご遠慮を。 全部使い切るのは大変だが一部を使うだけでも面白いと思う。 もちろんBlogの常連さんだけでなく、どなたでも結構だ。メールの先着順で受け付ける。

 返信用封筒(SASE)の送り先はメールに返信してお知らせする。 メールアドレスは『ttt.hiroアットマークgmailドットcom』で、カタカナ部分は半角記号に直して。 タイトルは「RF-IC希望」とでもして頂ければわかり易い。

新世代RF-ICのチャレンジャーを求む。==>配布予定数に達したので終了です。(2010.9.19)

(おわり)

2010年9月12日日曜日

【部品】Modern RF ICs :Part 1

新世代の高周波用IC
 写真は,これから順次紹介して行く「新しい」世代の高周波用ICだ。 新しいとは言っても、この分野は進歩著しいので、いわゆるHAMがこれまで自作に使って来たICよりも新しいと言う程度の新しさだ。(それでもずいぶん新しいのだが・笑)

 先日:9月4日の「QRP懇親会@秋葉原・喫茶ルノアール」にJH9JBI/1山本さんが持参されたものである。 QRP懇親会は自作派の参加も多いので、有効活用されるお方に・・・とのご提供であった。 5種類のICを数セットご用意されていた。しかし殆ど馴染みも無いICでは、その場で手を挙げるお方は現れなかった。

 せっかくなのにこれでは勿体ない。お預かりしてBlogにてご紹介+配布することにした。 調べてみればどれも興味深い高周波用ICだった。自作派なら是非ともチャレンジしたいものばかりだ。(このRF-ICセットは無償で配布予定。詳細は次回・Part 2で)

                ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

μPA101G
 まずは、NECのμPA101Gからである。 これはわかり易いICで、簡単に言えばMC1496G/Hの高性能版だ。 ピン・コンパチ品ではないが機能は同じである。

 では、違いは何かと言えば「周波数特性」にある。 約1GHzまでのミキサーに使える。 MC1496G/Hはせいぜい50MHzまでで144MHzでは性能低下が著しかった。

 SN76514NやSN16913Pと同じような平衡変調器(バラモジ)の目的にも使える。 用途によっては著しい性能向上が期待できるだろう。 SA612を含む旧世代デバイスより、今のギルバートセル型DBMは高性能化している。 こうした新世代のIC-DBMは種々登場しておりディスコンになった古いデバイスを探しまわる時代ではないようだ。

μPA101Gの応用回路
 ネット上に詳しいデータが上がっている。実際使う際には参照すべきだが標準的な応用を抜粋してみた。

 左図のような標準的「ギルバートセル型DBM」が構成し易いピン配置になっている。 内部のトランジスタはfT=9GHzの超高周波用であり、周波数特性は非常に良くなっている。 グラフの様に500MHz以上フラットな周波数特性が期待でき、1GHzあたりまで実用的に使えそうだ。 無線機のミキサーや検波回路のほかに高周波用測定器にも良い。

 内部のトランジスタは超高周波用としては耐電圧が高いのも特徴に思う。12V電源で使えるので広いダイナミックレンジが期待できる。 面実装パッケージだが、ピン・ピッチは1.27mm(普通のICの半分)と比較的広いからハンダ付けも易しい。ハーフピッチのユニバーサル基板にもそのまま実装できそうだ。 あえて欠点と言えば、MC1496G/Hと同じで外付け部品が多いことだろう。その分、融通が利くので最適化設計も可能なのだが。

このICは案外古くからあって、最初のころはセラミック・パッケージだった。秋月電子でも販売されていたことがある。現在でも高い周波数のDBMとして利用価値は高い。Intersil社のHFA3101は同等品である。

μPC8104GR
 写真のμPC8104GRは、移動体通信端末機器用(携帯電話)のもので直交位相変調器と周波数変換用ミキサーが集積されたICである。 集積度が高い専用のICと言うイメージが強いが、アマチュア的な面白い応用がある。 ピン・ピッチは0.65mmとやや狭いがピッチ変換基板に実装すれば扱い易くなるから大丈夫だ。

 直行位相変調は位相と振幅を組み合わせたデジタル向きの変調であるが動作はアナログな回路である。 信号の位相と振幅を変えて、多値のデジタルデータを送るのに使う。 詳細は専門書やWikipediaの直角位相振幅変調の参照を。

μPC8104GRの機能
 もともとは図の下のように携帯電話・PHSの送信変調回路に使う物だったようだ。 もちろん、音声を直接変調するのではなく、A/D変換された後のデジタル信号を扱っている。

 しかし、PSN方式のSSBジェネレータを作ったことがあれば機能ブロック図に良く似たところがあることに気付くかも知れない。

 Lo1と言う端子にキャリヤ信号を与える。またIとQと言う端子に、90°位相の異なった音声信号を与えてやればPSN式のSSBジェネレータが作れそうなのである。

 特筆すべきは位相が90°異なったキャリヤを作る回路が内蔵されていることだろう。 従って、発生させたい周波数のキャリヤを与えれば直接その周波数でSSBが得られる。
 要するに、50MHzとか144MHzでいきなりSSBが作れるわけだ。もちろんPSN式だからSSB用のクリスタル・フィルタはいらない。

μPC8104GRの応用回路
 左図の左下に示した「実験して学ぶ高周波回路」に、直交位相変調用のICをPSN式SSBジェネレータに応用する実例が掲載されている。(左図書籍はいまでも普通に購入できる)

 書籍では、一世代前のμPC8101GRを扱っているが、新しいμPC8104GRも同様の機能を持っている。おもな違いは周波数変換用のミキサー回路が追加されているところだ。 PSN-SSBに必要な直交位相変調回路はどちらも同じようだ。

注記(μPC8101GRとμPC8104GRの違いについて):上記書籍の記述ではμPC8101GRのSSB出力が入力キャリヤと同じ50.2MHzとなっている。これは誤りで半分の25.1MHzとなる。μPC8101GRは、μPC8104GRと違ってクロック逓倍器を内蔵していないためだ。μPC8104GRはブロック図のように入力キャリヤを2逓倍してデジタル移相器に加えているので入力キャリヤと同じ周波数のSSBが得られる。

 SSBジェネレータを作るにはオーディオPSN回路の外付けが必要になる。 記事のようなPPSN式でもオールパス式でも好みのものを。あるいは懐かしいナガード型やJA7LKタイプも良さそうだ。
 無調整でもキャリヤ・サプレッションや逆サイド打消しは40dB程度得られる。調整により改善もできそうだが、VHFの空いたバンドで試すなら無調整でも行けそうに思う。

 Specによればキャリヤ周波数は100MHzから、I・Q信号はDC〜10MHzである。 音声信号を扱うには問題ないが、キャリヤに90°位相を付ける回路の下限周波数が気になった。 ある程度マージンがあると思うので、キャリヤ周波数=50MHzで試してみる価値は十分あるだろう。 追加されたミキサーは1.2GHzを扱える。遊ばせてしまっても良いが、旨く使えば50MHzでSSBを発生し1.2GHzでSSBを得ると言ったことが数チップで可能かも知れない。これはなかなか凄い時代だ。(笑)

                ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

Part 1ではアナログな信号を扱う新世代のチップを紹介しておいた。
次回・Part 2では、PLLやVCOと言ったデジタルなチップを扱うことにする。

(Part 2へ続く)==>こちら

2010年9月5日日曜日

【測定】High precision Syndrome ?

【High precision Syndrome ? :あなたも今日から高精度病

LPRO-101 ルビジウム発振器】  写真は「ルビジウム原子周波数基準発生器」である。以前のBlogでも扱ったことがあった。 物々しい名前であるが、お子様用のお弁当箱くらいの大きさと言うコンパクトな物だ。 DC24V電源で動作する。 得られる周波数は、10MHzである。 なお、金属ルビジウムや金属セシウムは水と出会うとかなり危険な物質である。しかしこのユニットのルビジウム放電管の微量ならあまり心配はないだろう。


 携帯電話関係の中継器から発生したらしいジャンクが大量に出回っており、数1,000円で入手できることもある。 写真のEFRATOMあるいはDATUMのものはやや古いもので、同じ形番でSymmetricom製もあって幾らか新しいようだ。但し、基本的にどれも同じだからメーカー名を心配する意味は無いと思う。ジャンクなのだから、むしろ個体差の方が大きいに違いない。


 入手するなら精度の確認がしてあるものが望ましい。しかし、そんじょそこらの周波数カウンタごときでは精度評価(比較)など容易ならぬことも以下を読んでもらえばわかると思う。そんな驚異的精度の世界なのである。(同時に、驚くべき時間精度の世界でもある)

ウオームアップ特性・その1
 ユニットに電源を投入して約1時間後の周波数である。10MHzに対して、やや低いようだが観察しているとウオームアップ状態が継続しており、ゆっくりではあるが周波数は上昇して行く。この個体は僅かながら正の温度係数を持つようだ。

 拙宅は『標準化機構のラボ』ではないから、絶対精度が保証されたような「周波数基準器」が存在する訳ではない。 比較対象はGPS周波数基準器から発生される「10MHz」である。 GPS周波数基準器(hp Z3801A)は継続運転しており、実力精度はかなり高いように感じるが絶対精度を測る基準がない以上、あくまでもそう思うだけである。

 写真のように、通電1時間で既に数10ppt(1ppt=1兆分の1)の範囲まで、GPS周波数基準器に一致してきている。誤差の絶対値で言えば、10MHzに対して-0.232mHz(ミリヘルツ=1/1000Hzのこと)である。

 実は、このテストの前に高級と思われるTCXOを評価していた。十分良い安定度だと思ったが周囲温度の変化を受けて±0.5ppm位の漂動はやむを得ないようであった。(1ppm=100万分の1) しからばRb-OSCはどうなのだろうかとテストを始めたような訳だ。 流石に安くても『原子周波数基準器』である。 TCXOより1,000倍以上も優秀だと言える。 周波数の揺らぎはわずかだ。

ウオームアップ特性・その2
 ユニットに電源を投入して凡そ12時間経過した。10MHzに対して、やや高いようだ。 ウオームアップはほぼ終わっているようで、変化はあってもたいへんゆっくりしている。 いまだにやや上昇する傾向があるようにも見えるが、室温の変化など外的なわずかな変化が影響している可能性がある。

 見ての通り、誤差は+1.97ppt(=誤差は1兆分の1.97)である。周波数で言えば、比較する10MHzに対して19.7μHz(マイクロHz)の誤差と言うことになる。 もちろん誤差はゼロではないし、この分野に於ける現在の最先端から見たら更に5桁以上も『低精度』なのである。

 それにしても、通電12時間程度でここまで行くとは大したものだ。その誤差は、ppmどころかppbの範囲を超えて、pptで云々すべき領域にある。 そして方式の違う二種類の周波数基準器がここまで良く一致したことから、いずれもなかなか良い絶対精度を持つと思っても良さそうだ。

ゆらぎ
 これは、この計測に於ける周波数の揺らぎをヒストグラムで示したものである。 ある一面での捉え方にはなるが「揺らぎ」を示しておりその実力はわかるだろう。

 周波数分解能を上げる必要から,10秒間の平均化処理を行なっている。その周波数を発生頻度で統計処理したものである。 揺らぎをローパスフィルタを通して測定しているようなものなので、比較的高速な瞬時の変動は除去されている。

 揺らぎに埋もれた真の値を求めるには統計的な手段をとらざるを得なくなってくる。 如何なるものも常に真の値からの揺らぎが存在している。 結局のところその「真値」なるものは、揺らぎの中心が存在する位置を統計的に求めた結果に過ぎない。

 一般に、高精度になるほど揺らぎは小さくならざるを得ない筈だ。 平均化すれば真値に限りなく近付くとは言っても、瞬時瞬時で見たズレ幅が大きければそれは基準としては使い物にはなるまい。 このRb-OSCの揺らぎは、3σで見て±2mHz(ミリHz)ほどなのだから、十分優れている。(もちろん、この数字は測定系に与えられている「基準の揺らぎ」も加味された結果である) ちなみに、評価の発端となった件の高級TCXOでは揺らぎもあるがそれ以上に環境条件による周波数変動の振幅・・・これも一種の揺らぎには違いないのだが・・・が大きくてRb-OSCと同列に比らべても意味は無かった。

LPRO-101のスペック
 あらためてルビジウム原子周波数基準器(Rb-OSC)のスペックを見直してみた。(←コメントを赤字で付記) もちろん、これらは新品として工場を出荷された直後の数字だ。 初期精度とウオームアップ特性に着目してみる。

 初期精度は、±5E-11(@25℃)である。50ppt以内の誤差である。誤差は1,000億分の5以内というわずかなものなのだが、これでは一向にピンと来ない。
 もし、この10MHzを元にルビジウム原子時計を作ったのなら634年に1秒狂うかどうかと言う性能になる。もっとも、停電もせず故障もせず600年以上も動き続けるデジタル時計などあり得ないが。(笑)

 ウオームアップ特性にも着目してみよう。 流石に電源を入れた途端に超高精度にはならない。 それでも10分もすれば±1ppb(10億分の一)の精度に落ち着くとは素晴らしい。 これと競合するであろうオーブン入り水晶発振器(OCXO)は通電後10分では加熱中であって高精度どころか、未だに『低精度発振器』の領域を抜けていない。通電30分で0.1ppmに入れば良い方だ。ダブル・オーブン型OCXOも然りで、真に安定な領域へは何日間と言う時間を要する。

 結論めいたものを言うとすれば、もはやルビジウム原子基準器(Rb-OSC)に勝るものはないだろう。GPS-DOのようにヒモ付きでなく、あるいはOCXOのように定期校正や常時通電の必要もない。精度・価格比では言うまでもなく、信号純度も申し分ない。LPRO-101の残存寿命はランプ電圧のモニタ結果で見てもまだまだタップリ残っている。信頼できる所から購入するか校正を頼める友人でもあれば精度の維持も心配はない。

 Rb-OSCがもっと安価になれば精度が要る周波数基準はすべて置き換わる可能性がある。消費電力が大きいとは言っても、このLPRO-101でさえ定常状態ではオーブン入り水晶発振器(OCXO)と大差ないレベルにある。 数Wのパワーで動作するものも既に開発されている。

評価手段
このような領域に手を染めるのは、必要性があって相応の知識や経験も持った人だろう。素人が迂闊に手を出すようなものではない。 従って釈迦に説法だから計測手段などクドクドと書くつもりはない。


 しかし、あえて「高精度病」の仲間に入るつもりなら、写真のようなユニバーサル・カウンタがお薦めだ。 Agilentの回し者ではないが実際このカウンタは優れている。拙宅の方法でも比較評価は可能であったが易しくない。測定器そのものの扱いとセットアップの容易さでは明らかにこちらが優れている。 そして、もちろん最も重要なことは基準たる周波数標準をこのカウンタに供給することだ。それなくしては、ただたくさんの桁の数字を表示するだけのしろものだろう。


             ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 過去を知る人からは「高精度病」を蔓延させた張本人はオマエではないかと言われそうだ。 簡単にその経緯を辿っておく。 当時アマチュアにとって便利な周波数基準であった短波帯のJJYは停波していた。周波数カウンタや無線機の周波数校正に不便を来していたのだった。

 既存の技術としてはNTSC-カラーTVのカラーバースト信号から高精度基準を作るくらいしかなかった。既にRb-OSCもあったが未だたいへん高価だった。それに校正手段が伴わなければジャンク品の信頼性は低かった。

 もっと良い手段は無いものか探していて、QST誌の「GPS周波数基準器(GPS-DO)」なるものを発見した。 これについて、まずはE-Engineers Square(拙掲示板)で活発な意見交換があった。 自作を含めて様々に検討されたが、当時登場したGPS周波数基準用受信機(hp Z3801A:中古品)の輸入がベストとの結論に至った。GPS-DOは常に校正され続けるから、シャックに於ける究極の周波数基準に思えたのだ。

 その後はその受信機の活用方法についてwebで具体例をもって説明した。Z3801A本体の改造と動作確認から始め,アンテナ・カバーの製作、連続運転用電源の製作、基準分配器の製作、そしてTS-680Sを改造して周波数基準を供給し高精度でオンエアするという全5編で構成した。2002年冬〜2003年夏のことである。 当時の周波数高精度への挑戦が「高精度病」の切っ掛けとなりJAのHAMに次第に広まって行った。 その後は安価なルビジウム発振器(ジャンク品各種)の登場もあって、高精度病は一段と蔓延し今に至っている。


             ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 アマチュアではあっても周波数精度を探求することには意味がある。 実際、昔はオンエア周波数の精度に直結していた。 しかし、今ではそうした「実用」の範囲を遥かに超えていることを認識すべきだろう。 気軽にppbやpptの数字を登場させたが、オンエアにおける周波数精度は、その1,000倍あるいは100万倍も悪いppmのオーダーでも十分すぎる。電波法に於ける無線設備基準では更に緩い精度が認められているのが現実だ。 もちろん私自身も「重傷の高精度病」は懐疑的に感じている。
 *参考:電波法ではアマチュア局の周波数精度は500ppm(百万分の五百)以内で良い。必要とされる周波数測定装置の精度はその半分の250ppm以内である。なお、最近免許になった135kHzバンドだけは100ppm以内の精度である。従ってこのバンドでは50ppm以内の精度を持つ測定器(測定手段)が必要だ。このようにアマチュア局に要求される周波数精度はかなり甘く決められている。

 結局のところGPS-DOもRb-OSCもここに至っては「高精度病」の範疇にある。そのことを良く理解して議論しないとおかしくなってしまう。 ゼロが10桁以上も並んだからと言って、電波の質が格別良くなるわけでもないし、ましてやオーディオが驚異的に良くなる筈も無い。元がよほどPoorだったならあり得るのかもしれないけれども・・・。 Rbには揺らぎがあるかも・・と書いたら(そんなことは無いのだが)そのまま真に受けてネガティブな噂が広まった。これは要するに判別不能な事実の「端的な証明」なのだろう。

 実際Rb-OSCの揺らぎはアラン分散を取ってみても随分と優れている。これは計測結果からも確認済みだ。 もちろんそんじょの手段では検証困難だったのだろう。だから(あらぬ)迷信話しが広まったわけだ。(教訓:怪しげな言葉で先入観を持たないように)


 その事実を早くから感じていた某氏と私はやがてわかってきたRb-OSCの真相を知りつつも暫くネットの様子を眺めていたのだった。 (ありもしない)Rbの欠点をまことしやかに語る怪しそうなweb siteが次々登場してなかなか面白かった。 えっ?それって人が悪いって!(爆)

実際のところは、もう一度Rb-OSCの話題を採り上げるチャンスがなかっただけのこと。それ以上、何か意図があった訳ではないので悪しからず。

(おわり)

参考:ユニットをケースに収納し10MHz分配器も内蔵した実用編は→こちら(Blog内でリンク)

2010年8月22日日曜日

【その他】HAM Fair 2010

【2010年ハムフェア】於:2010年8月21日〜22日
 今年もハムフェアが開催された。 ここ暫く東京は有明:東京ビッグサイトが恒例の開催場所になっている。 そして残暑が厳しいのも例年のことだ。 重そうな無線機やジャン測を抱え、汗だくで「ゆりかもめ」に急ぐハムも昨今は少なめだ。 箱モノの出物が少なくなったこともありそうだが、会場に出店する運送業者の宅配サービスを利用する人が多くなったからだろう。

 昨今は買物よりもお馴染みさんやネットで知り合ったお方とのアイボールが目的のようになっている。 もちろんメーカーの新製品発表も気になるのだが、暫くは現有機器で行こうと決めているので熱心にに見ると言うほどでもなかった。 実際、厳しくなった新無線設備規則に対応した機器はまだこれからと言った感じだろう。 新製品のTS-590は気になったが、他社も含めて来年あたりの方が面白いのではないか?

 初日の傾向を一言で言うのは難しいが印象は次のようなものだ。「やや若返って人出もちょっと多くなったかな?」・・・という感じだ。 失礼ながら、例えば二文字コールのようなOMさんはこの猛暑の時期、お出掛けの無理はされないご年齢なのでは? 昨今は知り合いも含めてSKになられるOMさんも続出なのだ。 代わってBCLラジオブームの世代が隆盛になってきたように感じられた。

 少しずつではあるが、中・高校生の姿も見られるようになってきた。 それもOMのお子さんではなさそうな学生さんも結構いて少しは未来に希望が持てるかもしれない。 HAMと言う趣味も若い人たちに世代交代すべきだと思う。

 買物は目的にあらず。大したものはないが、恒例なので一応以下にメモしておく。(笑)

【ラグ板:Lug terminal strips】
 買物とは言っても、何か作る時に消費してしまうような部品を気付いた範囲で手に入れておく程度である。 もちろん、すぐに必要と言う訳でもないのだが、無いと不便、あったら便利と言うものを買っておいた。もちろん安いからと言って無節操に買い込むと消費しきれないのは目に見えている。

 写真は北海道の通販店「ラジオ少年」のブースに出ていたラグ板だ。 私が作るのは試作的な一品料理なので回路は「ユニバーサル基板」上に組立ててしまう。 しかしAC電源回りなど大きめの部品が付く所はこうしたラグ板に載せるケースも多い。 これは同店でいつでも買えるが送料節約の意味でこの際購入しておいた。なお、写真では7Pラグ板とあるが、アースに接続される端子は数に含めないのがパーツ屋さんの常識だったと思う。従って写真は4Pと6Pのラグ板と言うことになる。

 縦ラグ板(写真)は平ラグ板と共に真空管時代の代表的な配線用部品だ。 真空管で製作する人はもちろん持っているべきだろう。こうした回路図には現れない小物部品も揃えないと製作が捗らない。

【六角スペーサ:Hex Standoff】
 基板をシャシに固定するにはこうした部品が欲しい。 長いビスとネジを切ってないパイプ状のカラーで浮かせる方法もある。

 用途によって使い分けるようにしているが、ガッチリした固定には六角スペーサが良い。 シャシ上面から基板の着脱も容易にできるので便利だ。 これは一袋¥100−だったので2つ買っておいた。

 さっそくネジ類を入れるパーツボックスに追加しておいた。 秋葉原やホームセンタで購入すると、そこそこのお値段である。消耗品扱いで補充しておけば重宝する。

【間接型のTCXO】
 以前のBlogで、秋月のTCXO:KTXO-18Sより少し高級なTCXOとして紹介したモジュールが出ていた。 嵩張らず軽量でお手頃の「来場記念品」が欲しかったので、これを買っておくことにした。

 店頭には二つあったが、既に1つ持っているし他にも欲しい人があるかもしれない。一つで遠慮しておいた。 これが¥1,000−ならお買い得なのだが、自作をしない人には何の意味もないのだろう。

 周波数は6.4MHzである。 1/64で100kHzや1/640で10kHzを得てPLLのリファレンスにするのがお約束の使い方だろうか? 周波数安定度に優れたPLLシンセサイザが作れる。 また、今どきのリグには必要ないが100kHzや25kHzまで分周すれば精度の良いマーカー・オシレータになる。 更には1KHzあるいは1Hzを得てゲート制御信号に使えば測定精度の良い周波数カウンタになる。

 TCXOは昨今流行のRb-OSCや高級OCXOに比べれば絶対精度で2〜3桁ほど劣っている。 しかしスイッチオンから数分もすれば約0.1ppm以内の精度に入る。 常時通電しておけない機器にはむしろ向いている基準発振器だ。 消費電力も少ないから電源事情の良くないフィールド用の機器にも適している。

 周波数の「高精度病」も結構だが、周波数基準器は使用環境や電源条件なども考慮して選択しないと不都合な点ばかり目立ってしまう。スイッチオンから最低30分以上も待たされるような無線機やオーディオ機器など私ならご勘弁願いたい。(笑) 一般家庭用ならスイッチオンから短時間で高精度になるTCXOの方がむしろ向いていると思う。 標準電波を使って入念に初期校正しておけば、1年間くらい楽に<1ppmの精度が維持できる。 揺らぎさえ少なければ絶対精度はそれで十分満足できる。

【2SK1575/ Hitachi】
 これはHAMフェアのジャンク品ではない。 会場でアイボールしたYさんに頂戴したものだ。 何でも破格で数個入手されたのだそうで「どなたか試してみませんか?」と言うお誘いに思わず乗ってしまった。(笑) Yさん、良いお土産になりました。どうも有難う。

 Push-Pull回路を意図したRF用のPower MOS-FETである。 高耐圧RFデバイスであって、ドレイン電圧:Vds=80Vで使うのが標準だ。 従って例のMRF255アンプより遥かに良好なIMD特性が期待できる。(まあ、これは当たり前なのだが・笑)

 しかし思うほど甘くはなくて、やって見るとRFデバイスの高電圧動作はなかなか難しいものがある。 特に広帯域アンプの設計でマルチバンドを目指すと安定した動作が大きな課題になる。 失敗すれば即座にPower-FET昇天の憂き目と隣り合わせだ。 低電圧のデバイスよりもずっとデリケートに感じる。 虎の子の石を使った試作では通電の瞬間は心臓が痛む思いだ。 なので精神衛生上は安価なIRF510あたりの方が宜しいのかも。 hi hi

 このデバイスに関しては、いずれ100WクラスのPower MOS-FET Amp.を扱う時に詳しくでも。 あらためて過去の試作品と一緒に紹介してみたいと思っている。

                  −・・・−

 会場では、CQ誌ほか出版社のお方が熱心に取材される姿を目にした。 来月号ではHAMフェアの熱気が誌面を通じて全国のハムにも伝わるだろう。 来年も沢山の来場があればアイボールは盛り上がるに違いない。 アイボールでしばしお話し頂いた皆さん有難う! お会いできなかったお方は来年こそ来場されては如何?

(おわり)

2010年8月15日日曜日

【HAM】micro TO Keyer 2010 part 2

【箱に入れる】
 どんな製作でもそうだが、基板のままでは完成品にあらず。そのままでは何れジャンクの運命だ。 せっかく作ったKeyerなので箱(ケース)に入れた。 これでやっと「真の完成」と言う訳だ。 参考:micto TO keyerの基板部分の製作Part 1は:==> こちら

 実はmicro TO Keyerには実用性の懸念があった。「長短点メモリなし」と言うシンプルさゆえ使い勝手は如何ほどのものだろう。 実際に試してからでないとケースに入れていきなり遊休品と言う運命さえありえる。 そこで基板バラックのままでオペレーションを想定した試運転をしてみた。

 「箱に入れた=マズマズ使えそう」と言うことだ。 ラフなパドル操作ではミスが出易い。長・短点が出たのを聞いてからパドル操作が必要なので高速キーイングではエラーが目立つ。 しかしゆったりした速度で、人間の側が合わせる(訓練する・hi)ことで使えそうだ。 既存のC-MOS Keyer(移動運用向け簡易型)も似たようなものだから何とかなるだろう。

【配線中】
 サブシャシ(なま基板を使用)を設け、その上に回路基板を載せる構造にした。 これはケース下部にたくさんネジが出ないようにする為である。 ケース下部は厚さが4mmほどのアルミ押出材であり十分なネジ山が確保できる。ネジの頭が出ない構造を目指した。

 写真は前後のパネル兼上蓋の部分とサブシャシ間の配線の様子だ。 配線完了のあとサブシャシをケース下部に載せてネジ止めすれば終了だ。 こうしないとケース下部の側壁が干渉して配線しにくい。 他に配線し易い構造の箱もあったのだがデザインは今ひとつだった。 反面、このケースのデザインは悪くないのだが配線がやりにくい構造だ。

【配線完了】
 基板内の配線より、こうした筐体内部の配線の方が厄介である。 お盆なので連続した作業ができなかった。 結局、筐体の加工から配線完了まで三日間も掛かってしまった。 盆行事の合間の細切れな作業だからやむを得ないだろう。 おまけに部材が足りなくなり閉店間際のホームセンタに飛び込んだり・・・。hi

 サブシャシと上蓋の間を配線する構造にしたので配線は比較的容易だった。 配線終了後に下部シャーシに載せ2点ネジ止めで完了した。

 全面塗装されたケースなのでシールド状態に懸念もあるが、回り込みなどあれば後で対策したいと思う。 Low Powerでの運用しかしないのでRFの回り込みもまず問題ないだろう。

【電源およびリレー基板】
 先日作ったKeyer基板の他に、電源部とキーイング・リレー部、及びサイドトーン部を載せた基板を追加した。回路はごくありきたりなのでこの部分の図面は省略する。 なお、電源トランスはケースサイズから内蔵できそうにないのでACアダプタ形式にした。

 電源部はμPC317(LM317Aと同じ)を使って電圧可変型の安定化電源を構成している。 これは、もしKeyer部分に不満があった場合にそこだけ交換してグレードアップできるようにするためだ。 出力電圧は3.2〜5.6Vまで可変できるのでTTL化したKeyer部に載せ換えられる。


 Keying Relayの部分については、次項で触れる。

 キーイング・モニタ用にサイドトーン発振器を内蔵した。この部分は簡略化のために既製品の電子ブザーを使ってみた。 音色を聞いてから購入したかったのだが、秋葉原でも試して買えるお店はなかった。 その中で概略の周波数が書いてあったお店で購入した。

 好みもあるので自分で発振回路を構成した方が良いと思う。 しかし電子ブザーは小型で簡単なのが良い。それ自身が発音体なのでスピーカも不要だ。かなり大きな音がするが、箱の中なので静かな部屋には丁度良い感じ。 やや甲高い耳につく音だが、サイドトーン回路を内蔵しないリグと使う際の非常用なのでこれでも十分だ。 サイドトーンはON/OFFできる。

【内部基板全景】
 手前の黒い頭の丸形デバイスが並ぶのがmicro TO Keyerそのものである。 これについては前のBlogに書いた。

 同じサイズの基板に電源やKeying Relayを載せた。 肝心のKeying Relayだが、オリジナルの製作記事ではリードリレーが使ってあった。

 リードリレーの手持ちもあったが、所詮は接点式なのでチャタリングと接点寿命が気になる。 チャタリング対策には水銀接点リードリレーと言う手もあるが、今はPhoto-MOS Relayが一番だろう。 MOS-FETを使った電子スイッチだからチャタリングはないし接点寿命も心配無用だ。(但し、定格オーバーすると容易に破損する)

 写真奥の基板上にある真白い角形部品がそれである。フォト・カプラの一種だ。ここで使ったHSR312:Fairchild製はOFF時の耐電圧が250V、ON時の許容通過電流は190mAである。 ON抵抗は15Ωほどあるからスイッチと完全な等価ではない。 トランジスタを使ったフォトカプラと違いPhoto-MOS Relayには極性がないのが良い所だ。 トランジスタ時代のリグにも真空管時代のブロッキング・バイアス・キーイングしていたリグにも機械接点式(リレー式)とほぼ同じように使える。

 QRPな真空管式送信機ならカソードキーイングさえ可能そうだ。但しそれは試していない。

【パネル・コントロール】
 パネル面には電源スイッチ、キーイング・スピードつまみ、サイドトーン・モニターのON/OFF、パドル・ジャックを取付けた。

 構造上、配線の引き回しが長くなるので、束線バンドで整理してある。 パイロット・ランプは、電源ONでまずは薄く点灯し、キーイングで明るくブリンクするようにした。 動作確認にもなるし視覚的な効果もあった。

 パドル・ジャックはステレオ・タイプのイヤフォン・ジャックを使っている。これは拙宅の既存キーヤーとの互換性を考えたためである。 一般には大型のステレオ・ジャックの方が望ましいように思う。 パドルがGndに接続されるとDot/Dashが出る回路なので、ジャックのコモンがアースされるタイプでも大丈夫だ。

 サイドトーン・モニタのON/OFFはセンターOFF型のトグルスイッチを使っている。上側に倒すとサイドトーンがオンされ、中立位置でOFF、さらに下側に倒すとキーイング・リレー(Photo-MOS Relay)が連続ONになり送信機のチューニングなど便利が良いようになっている。このあたりはARRL-HBの回路を踏襲した。

【リア・パネル】
 キーイング・アウトプットのジャックは2つがパラになっている。これは片方にハンドキーあるいはバグキーを装着しておくためだ。 もちろん、出力端子はシャシから(絶縁されて)フローティングしており、マイナス接地でもプラス接地でも任意の電位の所に接続できる。

 例えばFTDX-401やTS-510のような旧式トランシーバではブロッキング・バイアス・キーイングになっていた。 リグのシャシ側に対しキーイング端子はマイナス数10Vの負電圧になっている。そのために、昔作ったKeyerでは高耐圧PNP-Trを使ったレベルシフト型のキーイング・トランジスタを付加していた。
 一方、比較的新しいリグではシャシに対して5〜12V程度の正の低い電圧をキーイングすれば良いようになっている。 これらの何れに対しても無難に対応する為にはメカ接点のリレーが最も簡単だが、現在ではPhoto-MOS Relayの採用がベストである。

 電源入力端子は標準的なDCジャックを使っている。但し、内部にブリッジ・ダイオードが入っており無極性になっている。 平滑コンデンサも入っているからACを加えても大丈夫だ。 だいたい7〜12V程度のDCアダプタが良い。所用電流は約100mAである。


micro TO Keyer Testing Movie
 ケースに入れてテスト中の様子である。 今回はサイドトーン・モニタの音が聞こえるのでどの様な感じかわかり易いと思う。 普通にキーイングできるのでマズマズ実用になりそうだ。

 出来たばかりなので簡単なテストでの感触である。 Speedツマミの位置は10時くらいが良い所だ。 12時の位置まで早めると指が追いつかずエラーするので少々訓練を要する感じだ。 もっとも、あまり早く送ると受信の耳が追いつかない。hi hi 「平和」に9時くらいのポジションでの〜んびりオンエアするのが良さそうである。

 没個性的かも知れないが、長・短点比が3:1の奇麗な符号が送れる。 クセのない教科書通りのモールス符号は受信し易いが、あまり遅くすると短点が中点のように感じて旨くない。  ゆっくり送る為には長・短点を延ばし単純にスピードを落とすのではだめで、符号の間合いを長く取るようにする方がCW初心者にも取り易く優しいオペレーションのようだ。

20世紀に置き忘れて来た懐かしいICを使った製作だったが実用になるものが出来たようだ。

21世紀にマッチした、マイコン式エレキーは:=>こちらから。

(おわり)