2024年5月8日水曜日

【回路】Repair the Antenna Tuner , FC-700

【アンテナ・チューナの整備と研究】

abstract
I am repairing a Yaesu Musen FC-700 antenna tuner. I have been using this antenna tuner for a long time. It seems that the contacts of the switch have oxidized due to years of use. It will be possible to repair it by cleaning the contacts of the switch.
And I will use this repair opportunity to study the inside of the FC-700. I have also considered several antenna tuners.(2024.05.08 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

FC-700:Antenna Tuner
 FC-700は八重洲無線のアンテナ・チューナです。FT-77、FT-707といった1980年代のトランシーバのアクセサリでした。 今では上位機種でなくてもオート・アンテナ・チューナ(ATU)の内蔵が普通になっています。しか30数年前はまだ外付けの手動式アンテナ・チューナが一般的だったのです。

 このFC-700はもともとモバイル用に購入したものです。 固定局のアンテナはインピーダンスが50Ω付近になるよう作っていたのでチューナーは特に必要としていませんでした。 しかし整合が難しい車載用アンテナで使おうと思って購入した経緯があります。(1990.11.21:3.5MHz Mobaileに初OA)

 ところがバリコンで同調する形式のチューナは振動でズレれしまい車載では使えないことがわかりました。 すぐに引退したのですがシャックにあってもあまり使う機会はありませんでした。 それに最近のトランシーバはATU内蔵が普通になったので50Ωから大幅に外れていなければ内蔵ATUで支障なく整合可能です。 それと、オートに慣れると手動は不便に感じますね。(笑)

 走行中に使うのでなければ支障はありません。 移動運用先の半固定でアンテナ整合の補助として使うのなら十分役立ちます。 最近復活した移動運用にあらためて使うことにしました。 ところがずいぶん古いため接触不良が目立っていたのです。 外観はまずまず綺麗でしたが内部のスイッチ接点は酸化・硫化が進んだのでしょう。整備することにしました。

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 こんな古いアンテナ・チューナを整備する人は稀でしょう。あまり役立たないとは思いますが自身の整備記録としてBlogにまとめます。 また、せっかくの機会ですからよく観察してメーカー製アンテナ・チューナを研究することにしました。 もしも興味があればこの先もどうぞ。 アンテナ・チューナの自作は意外に挑戦者が多いので幾らか役立つかもしれません。

FC-700:内部構造
 後ほど回路図も出てきますが、アンテナ・チューナは単純な装置です。従って見たところもシンプルです。 部品配置がわかるように取扱説明書からコピーしました。

 写真で、左上の入力コネクタにトランシーバ(送信機)を接続します。 アンテナは右上の出力コネクタに接続します。 単線式のワイヤーアンテナも使えますが、その場合は必ずアース側の配線も必要です。 右の出力コネクタ寄りにアース用のターミナルがあります。

 入力コネクタから入ってすぐにSWR検出回路があります。C-Mカプラ式のオーソドックスなものです。そのあと心臓部の整合回路になります。

 このアンテナ・チューナはいわゆるπ-C型(パイ・シーがた)と称する形式です。 後ほど詳しく触れますが市販のアンテナ・チューナではT型と共に良く使われる形式です。 最近の内蔵型オート・アンテナ・チューナでも良く見られる形式です。 特別変わったものではありません。 八重洲無線のアンテナ・チューナにはπ-C型、T型のいずれも存在しますのでどちらかが特に有利と言うこともなかったようです。

接点の清掃
 さっそく整備を始めましょう。 メーカー製だけあってFC-700はなかなかうまく出来ていると感じました。

 専用に作らせたスイッチが使われていて電流容量が必要な部分はダブル接点になっており、また耐圧が必要な部分はステア・タイト絶縁になっています。インピーダンスの低い部分はベークライト絶縁で済ませています。 この辺りが自作ではなかなか真似のできない部分です。

   接点板と接触子は銀メッキのようです。 そのため長い年月の経過で硫化が進んだようでした。 観察すると黒ずんでいたのでそれで接触が悪くなったのでしょう。 サビと汚れを上手に清掃すれば復活できるはずです。(写真は清掃後のもの)

接点復活剤:コンタクト・スプレー
 接点復活剤(コンタクト・スプレー)と称するケミカル製品は様々なものが売られています。 電子機器用と称するものでしたら大抵のものが使えると思います。
 ここではホーザンの製品を使いましたがだいぶ古くなったので腐ってる(?)かもしれません。 でも取りあえずまだ効果はあるので使ってます。w

 こうしたスプレーにはストローのような噴射チューブが付属しています。 そうしたもので直接噴射しても良いのかもしれませんが、それには接点以外の余計な場所に付着した分を洗い流す必要があります。洗い流すには専用の洗浄剤が必要です。

 それも大変なので、私は綿棒の先に付けて要所のみ清掃することにしています。 少々手間ではありますがスプレーの残渣だらけでベトベトになってしまうと後々埃が付着し固着するのでかえって厄介なことになります。機器の寿命を縮めることにも繋がります。

 残渣が残らない無水アルコールなどで清掃する方法もあります。 しかし汚れを落とす能力はこうしたスプレーの方が優っているようです.使い過ぎると旨くありませんが要所に上手に使えばかなり効果的です。

汚れが・・・
 綿棒の先には汚れがいっぱい付いてきました。w

 ひどい汚れが除去できたら綺麗な綿棒に交換して仕上げの清掃をしておきます。 アンテナ・チューナのロータリー・スイッチは接点がたくさんあります。 丁寧にやろうとすればかなり時間が掛かるでしょう。
 はじめ、上蓋だけを外して雑に作業していました。 それである程度良くなったのですがまだ不完全でした。 それに綿棒を押し込んだ結果、少々無理な清掃をしてしまいました。そのため接点の一部を曲げてしまい致命的な接触不良を作ってしまったのです。orz

 それで止む無く底蓋も外し丁寧にやり直すことにしました。 曲げてしまった奥のほうの接点もピンセットで慎重かつ丁寧に元の形に戻しました。 特にデリケートさを感じたのはコイルのタップを切り替える接点で難しさを感じました。 何とか接点による不安定さは改善できました。 清掃によって全般に接点が綺麗になったためか接触不良も感じなくなりました。 アンテナ・チューナは機器としては単純なものです。 デリケートな部分もあって初心者向けとは言えないかもしれませんが、目視でわかる不具合も多いので良く観察して作業すればうまく直せるのではないでしょうか。

 再整備としてはSWR計の反射調整とパワー計に切替えた際のメーター再校正などが残っています。 外付けのダミーロードで確認した範囲ではこれらに問題はなかったので今回は手をつけませんでした。 もしSWRの表示やパワー計の指示ズレが目立つようならきちんとした終端電力計や50Ωダミーロードなどを併用して再調整を要します。

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FC-700の回路図
 蓋を開けたのでせっかくですからFC-700を研究してみました。

 取扱説明書からコピーした回路図です。 メーカーのサイトで取扱説明書がダウンロードできるので正式な図面はそちらを参照してください。 左の図はBlogの説明用です。

 スイッチがたくさんあるので複雑そうですがアンテナ・チューナの回廊としてはπ-C型の単純なものです。 後ほど単純化した図面があります。
 書籍などアンテナ・チューナ関係の資料を参照するとスイッチで切り替えている:C1〜C13というコンデンサがバリコンになっているものがありました。 FC-700ではトランシーバの出力インピーダンスは50Ωであるとの前提で、バリコンではなくバンドごとの固定コンデンサに置き換えたものでしょう。 バリコンにすると操作部が増える上、コストもかさみますから固定コンデンサの切り替えですませる方法は現実的です。

 コイルはL01とL02の2つに分けられています。 各コイルとも使わないタップは間をショートするようにしています。 複数のタップ間を細かくショートしてショート部分で無用な共振などが起こらぬように特別に構成されたスイッチが使われています。 芸がこまかいと言うか、こうしないと旨くないのでしょう。

 入力コネクタから入ってすぐにSWR検出回路があります。C-Mカプラ式のオーソドックスなものです。 バイファイラ巻きのトロイダル・コイルを使ったカレント・トランス式なので基本的に周波数特性は平坦です。

 50Ωのダミーロードが内蔵されています。 ただし切り替えにリレーを使っている関係で外部からDC電源(+8V)を供給しないと機能しないのは残念です。
 ダミーロードはシャックの必需品です。 メーカー機ばかり使っていると必要は感じないかもしれませんがRigの修理や自作送信機のテストには是非とも欲しいものです。

 近頃はオンエア前にPlateとLoadバリコンを調整するようなトランシーバ(FT-901やTS-820,etc)は見なくなっていますが、もしこのアンテナ・チューナを併用するなら内蔵のダミーロードは重宝します。 まずダミーロードに切り替えてトランシーバのPlateとLoadを加減し所定のパワーが出るよう調整します。続いてチューナに切り替えて整合調整を始めることになります。

 整合調整はまず目的のバンドに切り替えます。SWR計を反射波側にセットし適度なパワーに絞ったのち送信をはじめます。チューナのTuneとLoadのバリコンを交互にゆっくり回しSWR計の「反射」が最低になるよう調整します。 慣れると勘が働くようになってバリコンを「予測」で余分に回せるようになり素早く整合できるようになります。(勘の悪い人は手間取ります・笑)

 このようにSWR計はアンテナ・チューナに不可欠です。 使用時には「必ず」メータを見ながら反射電力が最小になるようにTuneとLoadのバリコンを「入念に」調整する必要があリます。 また、このC-Mカプラ式の内蔵SWR計は簡易なパワー計としても機能するので重宝です。 ただしメーターは小さいですし多分周波数特性も完全なフラットではないでしょう。パワー計としての精度はあまり良く無いと思いますが無いよりもずっとマシなのは間違いありません。
 このチューナが接続してあればスイッチがスルー状態でも常にSWR計としてアンテナ系を監視できます。 また通過型のパワー計としても便利に使えます。 パワー計の目盛は15Wと150Wフルスケールの2レンジあります。

 ところで、こうしたアンテナ・チューナは便利なものですが、必ず「通過損失」が存在します。 これは50Ωの終端電力計をつないでスルー状態とチューナを入れた状態を比較すればすぐにわかります。 だいたい5〜10%くらい損すると思えば良いでしょう。チューナを通すと10Wが9Wになってしまうのです。 しかも50Ωを大きく外れるような負荷(SWRがとても高いアンテナ)の場合はさらに大きな通過損失がチューナ内部で発生すると思って間違いありません。 ですから、なるべくアンテナそのものが50Ω付近になるよう製作(調整)してアンテナ・チューナなど必要としないようにすべきなのです。

コイルに注目
 このアンテナ・チューナで私が注目したのはコイルの部分です。 従来のアンテナ・チューナでは決まって空芯型の大型コイルが使われていたからです。 そうしたQの高い空芯コイルを使うのが「アンテナ・チューナの常識」だと思っていました。

 トロイダル・コイルが使えるというのは目から鱗と感じるほどだったのです。 もちろん空芯のHigh-Qなコイルを使う方がロスは少ないでしょう。 しかしFC-700のように薄型でコンパクトに作ることはできません。 これは他社のアンテナ・チューナの内部を見れば良くわかることです。トロイダル・コイルとは、ちょっと思い切った方法なのでびっくりしたものでした。

 3.5MHz〜14MHzと言ったローバンドではトロイダル・コアに巻いたコイルは省スペースになってFBです。 しかしハイバンドになるとトロイダル・コアのロスが増えるのと、うまくタップが取り出せないことから空芯コイルの2つに分けたものと思います。


2つのバリコンは・・
 バリコンは2つ使われています。 いずれもギャップは狭くてあまり耐圧は高くないでしょう。 せいぜい1kVではないでしょうか。

 仕様上の整合可能なインピーダンス範囲を狭くとっているため1kV程度でも何とかなるのでしょう。
 それでも10Ω〜250Ωとなっているので最近のRigに内臓のATUよりも整合可能な範囲はずっと広いです。この辺りがテキトーに張ったワイヤ・アンテナでも意外にうまく整合できる理由なのでしょう。 まあ、そう言った”アンテナ”は整合はできても飛びは別の問題なんですけれども。(笑)
 注意としては1/2λに近いワイヤーのようにインピーダンスが高くなりそうなアンテナはやめた方が良さそうです。 QRPならともかく100Wではバリコンの耐圧が問題になってきます。

入力側コンデンサ
 写真はπ回路の入力側コンデンサです。 既に書いたようにRig側のインピーダンスは50Ωであると想定しているので、容量が固定されたコンデンサで済んでいるのでしょう。 各バンドともXc=25Ωになるような設計で整合範囲を広く取るのが目的でしょう。

 コンデンサはすべてディップド・マイカ(シルバード・マイカ)です。 E12系列を基本とし一部にはE24系列の市販品から容量を選び、それでも適切な容量が無い場合は2個並列で必要な容量を合成しています。 従って、使用できるHAMバンドはWARCバンドを含む3.5MHz〜28MHzの8つですがコンデンサは13個あります。

 アンテナ・チューナを自作する場合もこうした手法は参考にできるでしょう。 単一のバンド用チューナなら切り替えスイッチも要らず容易に作れます。

SWR・パワー計検出部
 C-M型のSWR・パワー検出回路になっています。 原理的に周波数特性はフラットなのでバンドによって感度の変化はありません。(そうは言っても完全なフラットではないでしょうけれど・・・しかし実用上の支障はないはずです)

 SWR計はアンテナ・チューナには必須の機能です。もし内蔵されていなければ外付けする必要があります。
 アンテナ・チューナに必要なことは整合状態の検出です。 整合しているかがわかれば良いのであってSWR値は読めなくても支障はありません。 従ってSWR測定回路ではなくて、インピーダンス・ブリッジ形式の整合検出回路を内蔵するアンテナ・チューナも存在します。 しかしせっかくですからSWR計になっている方がFBでしょう。 オンジエアしながらSWRが監視できますし通過型のパワー計にもなって便利です。

 検証はしていませんが検出部に使ってあるトロイダル・コアはT-37-#1のように見えます。 #1材はあまりポピュラーではありませんがカーボニル・コアのTシリーズでは最も透磁率が大きいマテリアルです。 フェライト・コアのFTシリーズで自作する例が多いのですが、カーボニルの#1材の方が何か良い点があるのかも知れません。(これは要確認です・笑)

内蔵ダミーロード
 50Ω/100Wのダミーロード部分です。

 抵抗器は1kΩ/5Wのごく普通のものが20本並列で使われています。抵抗器は小型で耐熱性に優れる酸化金属皮膜型です。周波数特性を補償する目的で10pF/1kVのマイカ・コンデンサが並列に入っています。

 5Wが20本ですから計算上は100Wですが連続的にそれだけの電力を消費できるわけではありません。 FC-700の仕様書には30秒と書いてあります。 抵抗器が密集していますし中の方は熱放散が悪いでしょう。連続ではとても持たないわけです。

 昔、似た方法でダミーロードを作ったことがあります。 周波数特性もHF帯なら問題なくうまく動作します。 課題は冷却で、強制空冷するとか何か効率的に放熱して冷却する方法を考えておかないとすぐに過熱するのが問題でした。hi

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 以上、FC-700の各部を眺めてみました。 流石にメーカー製だけあって構造や部品配置が工夫されており各部は最短距離で配線されていてます。 スイッチなど特殊品なのでそのままそっくり真似はできないと思いますが工夫された部分は学びたいものです。

このあとはちょっとしたアンテナ・チューナ回路の雑談です。

アンテナ・カプラの基本回路
 今では送信機(トランシーバ)とアンテナを整合する装置は「アンテナ・チューナ」の呼称が定着しています。
 私が若かった時分は「アンテナ・カプラ」と呼ばれていました。

 同軸ケーブルでの給電が常識になる以前は「ハシゴ・フィーダ」と言った平衡給電が行なわれていました。 たいてい同調フィーダとして使いますからフィーダ上に定在波が立つのは常識でした。そのためアンテナ・カプラはシャックの必需品だったのです。

 その後、不平衡型のケーブル・・同軸ケーブル・・で給電する時代になってもアンテナ・カプラは良く使われました。(左図は古い形式の例です)
 もちろん今でも有効に使える回路ですが、この形式で厄介なのはコイルの1次側と2次側の結合度を可変する必要があることでしょう。コイルを機械的に動かして結合度を可変するケースが多いのですが、代わりに1次側(送信機側)のリンク・コイルにも直列にバリコンを入れる形式もあります。バリコン形式にするときにはリンクは2倍くらい多く巻きます。

 もし作るのでしたら(b)の中間型にしようと思います。 端子板を使って配線換えで(a)や(c)に変えられるように作っても良いのですが煩雑になってしまいます。 しかしうまく作るとバリコン一つで済みますから経済的で悪くない回路だと思っています。 固定局のようにアンテナの形状がだいたい決まってしまうと一度調整すれば良いわけですからコイルの結合調整も煩わしいと言うほどではありません。

 コイルとバリコンで運用周波数に共振させることになります。 共振させるためのコイル(インダクタンス)とバリコン(キャパシタンス)の組み合わせは無数にあるわけですがアンテナ・カプラとしてはHigh-C、Low-Lの組み合わせが適しています。

 部品数の少ないアンテナ・カプラです。 コンパクトに作って移動運用にも重宝する「小型アンテナ・システム」になりそうです。 何の変哲もない「同調回路」ですが眺めていてそう思いました。

 古よりシャックで使うアンテナ・カプラといえば太い線を巻いた立派な(巨大な)コイルとギャップの広い大型エアー・バリコンと相場は決まっています。 しかしそれでは移動運用には大げさです。パワーに見合った部品を使うと言ったちょっとした発想の転換も必要そうです。

L-Zマッチのアンテナ・チューナはいかが?
 上記の古いアンテナ・カプラを眺めていて「Zマッチ」を使ったらどうだろうかと思いました。
 Zマッチというのは2連バリコンを使いコイル一つで広い周波数可変範囲を持った共振器を構成する方法です。

 左図の左側の囲みのようにLとCを並列共振と直列共振に組み合わせた回路です。 作り方次第ではHF帯を一つのコイルと一つの2連バリコンでカバーできます。 上記のアンテナ・カプラのLC共振器をこの回路に置き換えれば少ないパーツでオールバンド・アンテナ・チューナorカプラが作れそう。

 実はそう思ったHAMはたくさんいたようです。 ネットで探すと似た発想のアンテナ・チューナが幾つもヒットします。

 図はARRLのAntenna Compendium Volume3という書籍にあった回路です。(Page:191〜、W6JJZの執筆) 記事には2つ回路があって左図はそのうちの簡略版の方です。いくらか制約はあるようですが回路はシンプルです。 うまく使えればマルチバンド対応の移動用アンテナシステムがコンパクトに構成できるかもしれません。 基礎的な実験からでも初めてみたいと思っています。

 なお、先人のテスト結果もネット上にいくつか見られました。 それによればZマッチを使ったチューナは回路自体の通過損失がかなり大きくなって効率的でないケースがあるそうです。 さらなる検証は必要そうですが、ある程度のディメリットはあってもシンプルさと言った特徴が発揮できそうなら採用する意味はあるかもしれません。

 実験していませんから推測にすぎませんがZマッチを構成するコイルのインダクタンスとバリコンの容量によってもかなりの違いはありそうです。 さらにLow BandとHigh Bandではたとえ共振はしていても共振インピーダンスに大きな違いがあるはずです。 アンテナ・チューナ回路として負荷をかけた状態(=アンテナをつけた状態)であまりにもHigh-Qになる(例えばQL>30)ようでは損失が激増するのも当然です。
 従ってLとCの組み合わせの上手いところを探す必要があるのでしょう。 それにしても可能性がありそうなチューナ回路だと思いました。

FC-700の解析
 回路図の最後はFC-700の解析結果です。

 取説の回路図に書かれていて部品定数がわかるパーツは実際に内部を見ただけでもおおよそ理解できるものです。 しかし問題のコイルだけは現物を見てもどんな部品定数なっているか、にわかにはかわかりにくいのです。

 幸いトロイダル・コイルはコア材がわかりました。 T-157-#2に間違いないためAL値は簡単に判明します。 数えれば巻き数もわかりますから計算でインダクタンスも求まるでしょう。 空芯コイルの部分も寸法と巻き数がわかったのでかなり精度よく計算できました。

 ただし、見落としてはいけないことがあります。 多バンド型アンテナ・チューナ特有の構成のためインダクタンスには不確かさがありそうなのです。
 全巻線を使わないほとんどのバンドでは途中タップを使って小刻みに巻線をショートしているからです。そのショートされた部分は影響しないのでしょうか? そのため実効的なインダクタンスは計算される大きさとは異なっているかも知れません。
 まあ、まったくの同等品を作りたいのであれば同じ材料で同じ形状・構造に作れば実現できるるわけで、そういう意味での再現性は十分にあるでしょう。 しかし図に参考として書いてあるインダクタンス値は確かではない可能性が残っています。

 この図は独自の研究によって推定して得たものですからメーカーの設計意図を正しく反映していない可能性があリます。 従ってこの図をもってメーカーにご質問などされることはおやめください。 ご迷惑をかけるだけです。

 どうしても確かめたいのなら材料はわかっているのですから自ら同じように作ってみたら良いわけです。 確証が得たいなら是非そうされてください。 私からのお願いです。

アンテナ・チューナの参考書
 アンテナ・チューナの関連で蔵書を漁っていたらこのような書籍を見つけました。 買ったことを忘れていたくらいなので中身の記憶はぜんぜんありませんでした。

 書名が「アンテナ・チューナ」とはなっていませんからチューナの製作記事を期待してはいけないのかも知れません。 おもにチューナのオートチューニング技術を扱った内容と言ったら良いでしょうか。

 しかしアンテナとRigの間のチューニングのお話としては面白い研究内容です。 こうした分野にご興味があったら一読をお薦めしたいと思います。 絶版と思われますので図書館の利用がよろしいでしょう。 また、私見ですが無理してまで手に入れるほどの内容はないと思います。

                   ☆

 不調になったアンテナ・チューナをリペアすると言った単純な話のつもりでした。 色々眺めて散策しているうちにだいぶ道中が長くなってしまいました。 このBlogに欠けているのは数式によるアンテナ・チューナの解析です。 この辺りはπ型の変形インピーダンス整合回路として専門誌では詳しい扱いがなされていました。

 もちろん数値による解析は重要な手がかりを与えてくれます。 みずから設計するには避けられないはずですが、ここは娯楽のBlogなのであえて数式には触れぬことにしておきました。 興味の向きは是非ともご研究を!  アンテナに限らず整合回路の奥深さが楽しめるでしょう。 ではまた。 de JA9TTT/1 T.Kato

(おわり)

2024年4月24日水曜日

【HAM】Making the ADX-S Digital Modes Transceiver

デジタル・モード・トランシーバ:ADX-S製作

abstract
The ADX-S is a modification by BD2CR Adam Rong of the ADX digital mode shortwave transceiver developed by WB2CBA Barbaros Asuroglu. Both software and hardware are open source and information is available on GitHub. He referred to my Blog article when he improved the ADX-S. I was wondering what part of my Blog he referred to. I contacted the distributor, JL1KRA Nakajima-san, and asked him to distribute it. The reference was a Blog article about a shortwave receiver using the TA2003P chip for radio. Then I received a request from Mr. Rong to improve AGC. I immediately experimented with it and the conclusion is that AGC is not necessary for ADX-S. (2024.04.24 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

ADX-Sキットが届く・・・
 ADX-Sと言うシンプルなトランシーバのキットが好評なようです。JA局へ頒布を仲介されているJL1KRA:中島さんのサイトを拝見していると頒布の開始、すぐ品切れの状況です。

 このADX-Sですが聞く所によるとJA9TTTのBlog情報を参考にしているとのこと。どんな所を参考にしているのか興味を覚えたのです。まあ、興味というよりちょっと心配になったと言った方が良いかも知れません。 Blogを参照した「いかなる結果にも責任は負わない」って書いてはいますが気になりました。(笑)

 もう昨年のことですが、お問い合わせ致したところJL1KRA:中島さん、開発者のBD2CR:Adam Rongさんのお世話で製作する機会が持てました。どうもありがとうございました。

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 勿体ぶってもしょうがないので、さっさと書いてしまいましょう。それは何かと言うと:このBlogにはTA2003Pと言うラジオ用のICチップを使い短波ラジオを作ると言う話(←リンク)があります。それを参考にしたそうです。その短波ラジオにはCWやSSBを聞く目的でBFOが付いています。この辺りが一般の短波ラジオとは違うところですが、それをADX-Sの受信部に採用したようです。

 ADX-Sにはその元になるトランシーバが存在します。WB2CBA / Barbaros Asuroglu氏が設計したADXと言うものです。周波数と送受信の制御にAruduinoマイコンを使うものでプログラムほかオープンソースになっています。興味を覚えたようなら検索すればGitHubに情報が見つかります。

 ADXも受信部にTA2003Pを使うことは同じですがTA2003Pのミキサ部を検波に使ったダイレクト・コンバージョン形式です。ではADX-Sは何が違うのかといえばADXが検波に使っていたミキサ部を本来の用途であるコンバータ回路として使ったところです。要するにDC受信機からスーパ受信機に発展させたのです。スーパ・ヘテロダインの「S」を付けて型番をADX-Sとしたのでしょう。この改良はBD2CR / Adam Rong氏によって行なわれました。ADX-Sも同じくオープンソースになっています。

 ADXがADX-Sになって向上したのは「感度」に違いありません。I-F Ampのゲインが加わるのですから30〜40dBはゲインがアップします。オリジナルのADXの使用経験はありませんが、やはり感度では差が付くのではないでしょうか。 あまり良いアンテナが望めない移動運用に於いてはアップした感度はたいへん有益なはずです。

メイン基板の製作
 製作方法の詳細を書くのはこのBlogの役目ではありません。作り方や手順はJL1KRA:中島さんの頒布サイト(←リンク)に詳しく解説されています。Kitに付属のドキュメントも良く参照する必要があります。

 Kitは始めに部品の過不足がないか確認する作業がとても大切です。確認しながら分類しておくと製作がスムースに進みます。付いてきた部品の形状を把握しておけば実装する際の注意ポイントもわかってきます。 もちろん製作の工程と手順の確認も重要なポイントです。 プリント基板の表裏を間違えると言ったポカミスも防げるはずです。

 以前、古くからキット頒布されているお方に伺ったことがあるのですが、こうした基本の作業を怠っていきなりハンダ付けを始める人がいるそうです。
 傾向として、ちゃんとやらないのは意外に「OMさん」に多いんだそうです。それでつまらん失敗の挙句、頒布者にクレームが来るんだとか。しかも言うことだけはご立派なくせに、返却品を見たらいい加減なことは一目瞭然だそうで・・・ハンダ付けさえも怪しいとか。大のオトナがみっともないくらいだそうです。(笑)説明書読むのは煩わしいかも知れませんが先ずは読んでみて手順の通りにやった方が確実ですね。恥もかかずに済みます。w

 少ないとは言っても写真のような部品があります。 普通の電子回路にはそれほど冗長性はありませんから、ハンダ付けが1ヶ所マズイだけでもきちんと働きません。 適切なハンダコテを使い確実なハンダ付けを心がける必要があります。

 両面パターンのスルーホール基板です。一旦ハンダ付けしてしまうと専用のリペアツールが無ければ付け直しは「かなり困難」です。特に足の多い部品は間違えないように挿入します。 ハンダコテは弱い物(ワット数が小さい物)よりもややパワーのある物を使った方が確実です。 弱いコテを長い時間当てるよりもパワーのあるコテで短時間でサッと済ませる方が部品へのダメージも少ないものです。

 付属部品の分類・整理を済ませてから、通電・動作テストできる状態までに必要な製作時間は5時間くらいでしょう。これにはLPFモジュール(下記)を1つ作る分も含まれます。私の場合、写真撮影や簡単な測定評価の時間も含んで昼から始めて夕方にはテストできる状態になりました。製作をじっくり楽しみながら実質5時間くらいで作れそうな規模のKitです。

LPFモジュール製作
 オンジエアする際はLPFモジュールをバンド毎に付け替える必要があります。このLPFモジュール部分の製作が意外に面倒でした。

 各モジュール毎に3個ずつコイルを巻く必要があるからです。(全部で4バンド分ですから12個も!) 2つがLPF(ローパスフィルタ)用で、一つがD級アンプの負荷コイルです。

 コイルの部分は部品を所定の場所にハンダ付けするだけでは済まないので時間が掛かります。 手際良く進めても1つのバンドあたり30分くらい掛かるでしょう。 だんだんコイル巻きにも慣れてくるので最後の方はもうちょっと早く作れるかも知れませんが・・・。

ADX-Sの回路
 左の回路図を見れば非常にシンプルなトランシーバとわかるでしょう。

 制御回路にArduino nanoマイコンボード、周波数シンセサイザにSi5351ボードと言った既成のモジュールを使い外付け部品が最小限で済むよう工夫されています。

 重要な周波数シンセサイザ部は定番のSi5351モジュールで、これ一つで送信、受信局発、BFOの3つの発振器の機能を実現しています。 組立の過程で周波数キャリブレーションを行なって十分な周波数精度が得られるようになっています。 FT-8用としてはマズマズの周波数安定度が得られていると思いました。WSPRには少し厳し感じですかね。

 受信部はラジオ用ICのTA2003Pを使っています。TA2003Pはもともと外付けの少ないICですがアンテナコイルを省く、局発は外から与えると言った方法で簡略化しているのがわかるでしょう。TA2003Pの検波出力は何も増幅せずに復調用パソコンのマイク端子へ送られます。

 送信部も見ての通り簡単な構造です。 Si5351の出力を高速C-MOSの74ACT244で強化して終段をドライブします。終段アンプはBS170と言う小型Power-MOS FET(3本パラ)を使ったD級アンプになっています。これで高効率に出力電力2〜4Wを得ています。

LPFモジュールの回路
 ローパス・フィルタ部は小さな基板モジュールになっています。

 運用するHAMバンドに応じてメイン基板のコネクタに挿入します。 バンドを変更するたびにLPFを交換しスイッチでバンド設定せねばならないので少し面倒臭いです。

 しかしたいへんシンプルな構造のトランシーバですからやむを得ないでしょう。 慣れればそれほど面倒とも感じなくなりそうです。(笑)

ADX-S完成
 意外に時間がかかったのはプラケースの加工でした。(上記の5時間にはケース加工は含まれません) ポリエチレンで出来た半透明の収納ケースは中途半端に柔らかくて加工しにくいのです。見ての通り出来栄えはあまり宜しくありません。w

 たぶん適切な加工用工具と作業方法があるのでしょう。 しかしコツを掴む前に完成してしまいました。(笑)

ADX-Sのバンドごとの出力パワーを測ってみました。

40m Band Po=2.9W 消費電流=510mA
20m Band Po=3.4W 消費電流=550mA
15m Band Po=1.7W 消費電流=390mA
10m Band Po=1.6W 消費電流=410mA

・・・のようになりました。電源電圧は12Vです。負荷は50Ωの終端型パワー計です。

 ファイナルのBS170はRFアンプ用ではなくて単なるスイッチング用MOS-FETなのでハイバンドで効率が落ちるのは仕方ないと思います。ドライブも掛かりにくくなってくるのでしょう。

 受信感度はなかなか良好で十分実用的だと思います。拙宅ではメインにIC-756proを使っていますが受信状況に大きな違いは感じられませんでした。 超強力なローカル局がオンジエアすると言った環境では厳しいと思いますが、そうしたことさえ無ければ問題はないでしょう。よく聞こえ(見え)ます。

 ADX-SはAndroidスマホと組み合わせて使う人が多いようです。アプリにFT8CNを使うと自動交信まで可能だそうです。 まあそこまでして面白いかどうかは別ですが・・・。 Androidスマホが手に入ったら試してみたいと思いますが寝ていて知らぬまに交信済カントリが増えるなんて何か意味ってあるんですかね?(爆)

 もちろんWSJT-XやJTDXと言ったパソコン用のアプリでオンジエアすることもできます。心配いりません。アナログ・インターフェースで使います。

                  ☆ ☆ ☆

 ADX-S製作の話はここでおしまいです。 続いてこの先は改造検討をする話になります。

AGC回路の検討
 私のBlogにあるTA2003Pを使った短波ラジオの回路ではAGCが効かせてあります。その代わり注入するBFOはなるべく絞って最低限必要な大きさに調整する必要がありました。

 Blogで作る短波ラジオのコンセプトは「単なる短波ラジオ」なのでBFOの機能はおまけ程度です。ですからそれでも良かったのですが、HAM専用受信機ともなると事情も変わります。 ADX-Sが組立Kitなのも厄介で製作者個々にBFOの注入レベルを調整しろとは言えないでしょう。 そこでADX-SではBFOをFT-8などの信号復調に十分なだけ(強く)注入しています。

 もし、そのままAGCを働かせたなら注入したBFO信号でAGCが掛かってしまいI-F Ampのゲインが抑制されてしまいます。これでは感度が低下してマズイです。そのためADX-Sの回路ではAGCをGNDにバイパスしてその機能を無くしています。常にフルゲインで動作する状態になっています。

 BD2CR / Adam Rongさんもこの辺りに課題を感じたらしく、ADX-SにAGCは掛けられないだろうかというご提案をいただきました。 写真はAGC回路の実験の様子です。

TA2003Pに外からAGCを掛ける
 TA2003Pはオールインワンのラジオ用ICなので回路の途中を切り離すと言った工夫は出来ません。そのためI-F Amp.の終段から信号を取出してAGC用の信号を作る・・・と言ったような手法は不可能です。

 可能性があるとしたらオーディオAGCということになります。BCLラジオのようなAM受信機の場合オーディオAGCはうまくありませんが、SSB/CWそしてFT-8などデジタルモードの受信なら十分な可能性があります。

 図はADX-SにAGCを付加する回路です。検波出力を十分に増幅し整流したあとOP-Ampのバッファアンプで外からAGCを掛けるというものです。 TA2003PのAGC機能を解析しIC内部の駆動インピーダンスなどを検討して、図のように外部から強引にAGCを掛けても支障ないことを確認してあります。(内部のAGCは抑制されます)

 TA2003Pの回路構成上の制限から本格的な通信型受信機のようなAGC特性は望めませんが少なくとも40dB以上のAGCレンジが得られました。 ADX-Sの改良は別としてもTA2003Pでデジタルモードを含めSSBやCWの受信機を作るにはマズマズの方法でしょう。強めのBFOを注入して、しかもちゃんとAGCを効かせられます。Sメータももちろん付けられます。

 Rongさんのご要望にはお応えしたつもりなのですが、オーディオAGCはあまりお気に召さなかったようです。 なのでこれ以上進めるつもりもないためラフな手書きのメモでおしまいです。ちょっと見にくいかと思いますがあしからず。(笑)

                    ☆

 通信型受信機に造詣の深いお方がADX-Sの回路を見たら驚愕(卒倒?)するでしょう。 何しろ受信機の3S(感度、選択度、安定度)の2つがないがしろです。 まあ周波数安定度は周波数シンセサイザですから良いとして・・・。

 受信のイメージ・レシオはほぼ0dBです。選択度もラジオ用セラフィルですから・・・。

 もちろんきちんとした受信機のセオリーから言ったら幾らでもダメ出しができるでしょう。しかし実際に使ってみたら結構な実用性を発揮するわけです。
 私は「これはシンプルさを楽しむ手作り品」なのだと納得しました。QRPな送信部には十分すぎる高感度です。 たぶんADX-Sはこのままが良いです。(必ず併用することになるパソコンやスマホアプリの信号処理能力が非常に高いからでもあります)

 蛇足になりますがAGCについて付け加えます。 現実の問題としてAGCの付加は必須ではないと思いました。 他局より極端に強いローカル局がオンジエアしているような時にはAGCが掛かって歪みを抑えられます。しかしこれは稀なケースです。 あまりゲインのないTA2003Pの受信部は常にフルゲインであっても歪んで困るようなことは稀なのです。
 HAMの電波は「かぼそく」てAMラジオ局のようにバカに強くはありませんからね。 ですからAGCはあっても無くても受信成績にはほとんど差が出ないのです。ならばAGCなんて無くても良いしそれが合理的と言うものです。今のままで良いのではありませんか? ・・・と言うのが私なりの結論です。あなたのお考えは如何でしょうか? ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)fm

2024年4月9日火曜日

【Antenna】Making a Duo-Band Whip Antenna

14MHzと18MHzの2バンド・ホイップ・アンテナ

abstract
I built a duo-band antenna for 14 MHz and 18 MHz. But the performance of that antenna was poor. The RF Power radiation efficiency was not good. The reason was the stainless steel antenna element. The antenna was a shortened version with a loading coil. The presence of stainless steel in the magnetic field of the coil caused a loss of RF power. I was able to improve the situation by dropping the stainless steel material and replacing it with brass material. I would not have experienced this if I had used toroidal coils instead of air-core coils. However, toroidal coils have other problems. (2024.04.09 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

昔っから言いますが・・
 HF帯(短波帯)のモバイル用ホイップ・アンテナの話題が続きます。 そもそもHF帯でモバイル運用したいなんて言う物好きなHAMは稀でしょうから、そんなアンテナの話は飽きてきたのではありませんか? 前回の7MHz用でおしまいにしようと思ってました。

 今回は14MHzと18MHzの2バンド用アンテナを作りますが、それを紹介するのは主だった目的ではないのです。

残念ながらはじめに作ったものは低性能なアンテナになりました。 何でも成功する訳じゃありません。むしろ「失敗作」と言って良いでしょう。 なぜなのかしばらく悩んだのですが、むかし聞いたことのある話を思い出したのです。自分の経験ではないのでうろ覚えでしたがそれを切っ掛けに解決することができました。 ・・・どうやら成功の元になったようです。

                    ☆

 私自身では面白い経験だったのですが大抵のお方にとっては何か意味があるとも思えません。 いつ何をやったらどうなったのかと言う自身の備忘が主目的です。 モバイルからHFにオンジエアの最終回の話しはあいも変わらず雑談チックになりますが悪しからず。 この先はお薦めもしませんので、もしお暇でもあったら眺めてみて下さい。 暇つぶしくらいにはなるでしょう。(ココを見てる時点であなたは暇人ですが・笑)

                  ー・・・ー

トロイダル・コイルは
 最初の写真はトロイダル・コイルですがこの先の話には出てきません。トロイダル・コイルで短縮アンテナの「ローディング・コイルを」と目論んでました。High-Qという先入観からです。

 結論としてトロイダル・コイルは周波数特性が悪く不適当でした。特定の周波数範囲ではかなりHigh-Qですが空芯コイルと比べ高いQが保てる周波数範囲はずっと狭いのです。
 条件に合う単一バンドの短縮アンテナならある程度使える可能性はあります。しかし複数のHAMバンドにまたがるアンテナには向きません。
 またHigh-Qとは言っても最適化された空芯コイルを凌駕するほどの性能は難しそうです。 磁気コアによる鉄損や磁束飽和の観点から言っても短縮アンテナには空芯コイルが無難だと言う結論です。 トロイダル・コイルは回路用部品であってこうした短縮アンテナ用ではないようです。(私見です)

移動式容量冠
 HF帯ハイバンド・・・14MHz以上のHAMバンドへオンジエアしたいと思いました。

 2024年は黒点周期:サイクル25の極大期にあたります。極大期にはHF帯のハイバンドが活性化します。 まさしくDXingのチャンスです。

 チャンスを逃すのは惜しいです。11年後のサイクル26は生きてないかも知れません。 POTAなどのモバイルでもオンジエアが楽しめるようにHF帯ハイバンドの移動用アンテナを作ってみます。

                    ☆

 ところが手持ち部材が底を突いてきました。買わずに済ませるには工夫が必要でした。
 今回もセンタ・ローディング形式で作りましょう。 7MHzのアンテナ製作のとき切り残ったグラスファイバ・ロッドを使います。そのため全体に細くてコイルの下部セクションとしては少々貧弱です。できたらもっと長さも欲しいところです。 しかし波長は20mあるいは17mとLow-Bandよりずっと短いので何とかなるでしょう。軽量に作れば強度も大丈夫そうです。

 使うことにしたグラスファイバ・ロッドは先端が細いため前作のような方法でロッド・アンテナを繋ぐことはできません。 そこで持っていたステンレス(SUS)製のロッド(φ3mmの棒)を上部エレメントとして使いました。長さは820mmあります。もともとグラスファイバ・ロッドの先端に付けるための部材でした。アンテナ用として先端に金属球も付いてます。

 しかしこれを使うと上部セクションの長さを加減できないのが大きな問題でした。コイルのタップ切換だけで共振周波数をシビアに追い込むのは難しいからです。
 写真は共振周波数を微調整するのための移動式の容量冠(キャパシティ・ハット)です。 ミノムシ・クリップで挟む位置をスライドして共振点を微調整します。思っていたよりも調整可能な周波数範囲が狭いのはやや不満でしたが試行錯誤を繰り返してある程度うまく行きました。

タップ式コイル
 2バンドアンテナはローディング・コイルのタップ切換えで実現します。 ほかにトラップ式で作る高級な方法もありますが初期調整はかなりの困難が予想されます。

 運用時のバンド切替えは少々面倒くさいですがタップ選択式を採用しました。 ミノムシ・クリップによるタップ切替えには幾分不安を感じます。 ただしコイルより先の部分はRF電流が少なくなるので旨くタップを引き出せば何とかなるでしょう。

 こんどはバンドチェンジのたびにコイル容器を開閉します。この保護容器は開閉が容易なのは好都合でした。

14MHz and 18MHz Whip Antenna
 下部セクションが細くて華奢な感じがします。しかし走行しながらの運用はしないので折れることはないでしょう。

 全体的に軽量にできたのでアンテア基台の負担が少ないのはFBです。 流石に3つ目ともなれば目新しさはぜんぜん感じませんがマズマズの出来映えです。(・・・と自画自賛・笑)

 家人には「同じのを3つも作ってどうするの?」なんて言われてしまいました。 確かに同じにしか見えないかな。(笑)

残念ですが解体します
 何が問題かといえば送信時のロスが大きいことです。ローディング・コイルのあたりで発熱がありどうも輻射効率が低いようなのです。

 見ての通り過去2作とほとんど違わず何が原因なのか悩みました。 結論から述べてしまうとステンレス・ロッドがコイル内に掛かっていることが損失発生の原因でした。 原因がわかれば対策しなくてはなりません・・・。

 思い出したのはずいぶん前の話です。さるHAM局がモバイル用アンテナを作ったそうですが飛びが悪いと言うのです。細かい症状は忘れましたがコイル部分にかなりの発熱があるとのこと。そして輻射エレメントにステンレス材を使ったセンター・ローディング形式らしかったのです。

 その時は構造など詳しくお聞きした覚えがあります。ただ、私には何が原因なのかすぐには思い浮かびませんでした。 あとでそのアンテナを良く見せてもらう機会があったのですが器用なお方らしく丁寧にそして見栄えも良く美しく仕上げてあったことを思い出します。

 その後どうなったか記憶にないので、そのHAM局は諦めてしまったのかもしれません。 そして今回は私がよく似た現象に遭遇した訳です。 以下は問題検証の様子です。

ローディング・コイルのQ
 アンテナ製作に使っているコイルは実績のあるものです。

 念のために改めて確認していますが、写真のようにQu=265くらいあります。(巻数が少なく周波数が高いのでややQが低下)

 巻き数や測定周波数によって変化しますが、だいたい300前後が得られます。エアダックス・コイルとして正常でしょう。

ロッド・アンテナをコイルに挿入
 従来の構造である、ロッド・アンテナがコイルの端部に掛かった(挿入された)状態を再現してみます。

 少しインダクタンスの変化とQの減少が認められます。ただしQu=225くらいあるのでそれほど大きな減少ではありませんでした。もっと低下するかと思っていたので意外でした。

 そういえば、コイルのインダクタンス調整に真鍮コアを使うと言う話を思い出しました。FMやTVのチューナと言ったVHF帯のコイルのインダクタンス調整に使っているとのこと。 Qの低下を来さずにインダクタンスを加減する(減らす)ことができるので使っているのでしょう。

 使っている伸縮式ロッド・アンテナ(6段式)は真鍮にクロームメッキしたパイプが使われています。 そのためQの低下をあまり来さずに済んでいるのでしょう。

ステンレス・ロッドでQ低下
 今度は実際にアンテナに使ったステンレス・ロッドをコイル端部に挿入してみました。

 幾らかインダクタンスも変化しますが、それ以上にQuの低下が顕著です。 約半分のQu=130になってしまうのです。

 265だったQuが半分以下になったら損失は倍増です。 そうでなくてもローディング・コイルにはロスがあるのに損失が2倍になったら電波の飛びが悪くなって当然ですね。

 アンテナの部材としてステンレス材は悪くはないと思っています。しかし使い方を考えないと性能低下をきたすことがあるのです。良い勉強になりました。


                    ☆

 ステンレス製の上部セクションを真鍮製のロッド・アンテナに交換することで対策しました。 実績のある方法へ戻ったわけです。 使っているグラスファイバ・ロッドの先端部は細いので、その先に付けるロッド・アンテナとの結合方法を考える必要がありました。これにはアクリル樹脂製のパイプに両方を挿入する形式で接続しています。
 アンテナの上部セクションが伸縮可能になったので移動式の容量冠(キャパシティ・ハット)はやめました。 また波長で考えて上部セクションの長さは十分に得られているので容量冠は使いませんでした。これで支障なく各バンド共振調整できます。 なお、HF帯ハイバンドになると無闇にHigh-Qなアンテナにはなりませんからコロナ放電対策は不要でした。 以下、改良後の様子を要約します。

14MHzのSWR特性
 nanoVNAを使って共振特性を確認します。

 写真に14MHzのSWR特性を示します。これは改造後のものです。
 改造後のトップセクションはロッド・アンテナです。 伸縮できるので共振周波数の調整範囲はかなり広くなりました。 従ってコイルのタップ調整は多少ラフに行なっても共振周波数をバンド内に持ってくるのは容易でした。

14MHzの飛びかた
 PSKRで飛びかたを確認しました。 パソコンの画面をキャプチャしたものです。

既にご存知かも知れませんがPSKRの概略をあらためて説明しておきます。
最近はやりのFT-8のようなデジタルモードではパソコンを使ってオンジエアします。パソコンにはJTDXやWSJT-Xと言った専用アプリを走らせます。

 専用アプリには受信時に聞こえた(見えた)ステーションの情報をサーバにアップロードする機能があります。もちろんパソコンはインターネットに常時接続されているのが前提です。 その上がってきた各局からの受信情報をまとめて表示するサイトがPSKRです。 PSKR(←リンク)をアクセスすると自局電波が世界中のどこで受信されたのか良くわかります。初めてPSKRを開いた際には自局コールサイン、運用バンド、モードなど必要な情報を設定して表示させます。(左の画面)

 吹き出しに「XX min」と表示のあるのがレポートをサーバーに上げてくれた受信局です。例として44minとあるのはこの画面キャプチャの44分前に見えたという意味です。そこへマウス・カーソルを当てればその受信局の詳細情報が表示できます。

 これは2024年1月28日の16:30(JST)ころ14MHz/20m Bandにオンジエアした際の伝搬状況です。送信電力は50WでアンテナはこのDuo-Band Whipです。 アンテナのテストを兼ねたPOTA活の一環として訪れた上武県立自然公園内:児玉千本桜堤付近からオンジエアです。運用した頃は冬なので誰もいませんでしたが桜の名所ですから開花が遅れた今年は丁度いま賑わってます。(埼玉県本庄市児玉町高柳・GL:PM96ne、標高:約120m) 県道沿いで行くには便利な場所ですが特に無線に向いたロケーションとは思えません。 HF帯は電離層反射なので良いとして、V/Uの移動運用にはむしろ不向きでしょう。

 流石に14MHz/20m BandはDXバンドだけあって海外へよく飛んでます。 但し夜間帯を通るパスはないらしく北米は良くありません。 昼間〜夕方ゾーンのアジア・オセアニアと東欧が良いです。夏季で日照時間が長い南米にも飛んでます。 このオンジエアではアルゼンチン:LU2やインドネシア:YC2とできたほか中国、韓国とは複数局と交信できました。 日本国内もわりあいスキップせず満遍なく飛ぶ感じです。

 SWR特性だけでは良し悪しはわかりませんが電波の飛び具合を見るとまずまず良好なアンテナと言えそうです。

18MHzのSWR特性
 同じくnanoVNAを使って共振特性を確認します。

 写真に18MHzのSWR特性を示します。こちらも改造後のものです。
 バンドの切り替えはコイルのタップ位置を変えているだけです。 具体的にはコイルのタップをミノムシ・クリップで挟んで切り替えています。 そのあと先端部分の伸縮で共振周波数を微調整します。 運用中、心配していたタップ切り替えによる不安定さのようなものは感じませんでした。 SWR値も常に安定していたので問題はないようです。

18MHzの飛びかた
 同じくPSKRで飛びかたを確認しました。 パソコンの画面をキャプチャしたものです。

 移動地、パワーなどは上記20mバンドと同じです。 この18MHz/17m Bandもサンスポットの極大期にはDXingに向いたバンドです。 新しくできたWARCバンドなのでオンエア局数は20m Bandより少なめです。18MHz帯は3級局から出られます。

 やはり夜間帯を通るパスはないようで、北米はダメですが日照のあるゾーンへ良く飛んでます。アジア・オセアニアが良好です。 QSOできるかどうかは別としても(笑)カリブ海からもレポート上がっています。 Euも20m Bandよりも深い方(西方向へ)開けています。 実際にスペイン: EA局に呼んでもらったのですが、QRMで尻キレてしまいました。(ちょっと残念) 30分程度のオンジエアでしたが、オーストラリア:VKや西マレーシア:9WとQSOできました。中距離の中国・韓国局は国内なみに交信できます。 逆に日本国内近距離はスキップするかと思ったのですがマズマズ満遍なく飛ぶようでした。打ち上げ角の関係でしょうか。

 このバンドも飛び具合から見て十分使えるアンテナと言えるでしょう。 波長が短くなった分だけ幾らか輻射効率もアップしているはずです。

                    ☆

 輻射効率が悪くて一時はどうしようか迷ったアンテナですが、原因究明と対策ができ使い物になるアンテナとして蘇りました。飛び具合も悪くないので及第点でしょう。

 これは当然でしょうが、いずれのバンドも地上高があるホーム・シャックのビームアンテナと比べたらだいぶ心細さを感じました。 しかし条件の悪い移動運用ですからこんなものなのでしょう。給電点の地上高は1.5mで長さも僅か2mにも満たない小さなアンテナです。
 移動運用でこれ以上を望むなら高さのあるフルサイズのDPアンテナや或いはビームアンテナを架設すると言った大掛かりな運用になるでしょう。 それは私が目ざす「お手軽移動運用」とはまた別の世界です。(笑)

IC-7300とFC-700
 IC-7300を使っていて内蔵オート・アンテナ・チューナの整合範囲が狭いと感じることがあります。

 小型の筐体にオールバンドSSBトランシーバの機能を全て搭載しアンテナチューナ(ATU)まで内蔵しているのですから限界があってしかるべきでしょう。コンパクトで良くできたトランシーバだと思っています。
 外付けのリモート・アンテナ・チューナも用意されています。メーカーとしては内臓ATUでダメならそれを買って欲しい訳でしょう。w

 試したところ整合状態が厳しい時は外付けチューナを使うと良さそうでした。 お手軽移動運用の趣旨から言って機材が増えるのは好ましくありませんがRigの性能がフルに発揮できないのではやむを得ません。状況によって外付けチューナを使うことも考えましょう。これで整合の難しさはほとんど解消できます。

                    ☆

 ステンレス製のアンテナロッドがローディング・コイルに影響を与え、アンテナの輻射効率を低下させると言う話でした。 原因がわかれば対策が考えられます。 構造を変えるのではなく素材を変えて解決できました。

 真鍮なら大丈夫でステンレス鋼が良くないのは電気抵抗の違いにあると思います。あまり気にされないかもしれませんがステンレス材の電気抵抗値はかなり大きいのです。錆びなくて安価なことからステンレス線をダイポール・アンテナに使うHAMもあるそうですが、いちど抵抗値を計ってみると面白いでしょう。 意外に抵抗値が大きくて驚くはずです。 まあロスを気にしなければアンテナのQが下がって広帯域特性になるのでステンレス線のDP-ANTもFBと言えるかもしれませんが・・・私は使いませんけど。(笑)

 コイルで発生した磁束により周辺に存在する金属には誘導電流を生じます。その生じた誘導電流によっても磁界が発生しエネルギーとしては消費されることなく殆どが戻ってくるでしょう。 しかしステンレス材のように電気抵抗が大きかったら自身の電気抵抗でIR損失が発生し熱になってしまい全部は戻ってきません。 簡単に考えるとこのような理由でステンレス材がコイル近傍にあるとロスになるのでしょう。 磁束の外にあれば問題ないわけで要は使い方かもしれませんが。 そして磁束が閉じ込められ外に漏れないトロイダル・コイルをもしも使っていたなら現象に遭遇することはなかったかも知れませんね。

                  ☆ ☆ ☆

 モバイルでオンジエアのお話はアンテナ基台から始まり磁石アース板の効果を6mアンテナで確かめたあと、いよいよ本題のHF帯アンテナの製作へと進みました。 10MHz、7MHzと作って実用的な成績が得られました。 続いて14/18MHzのDuo-Band ANTでは少々躓きましたが解決できてマズマズの成績を得ました。 交信実績のなかった6mも近所の空き地でテストしたらVK4とQSOできたので、これからPOTAの運用も楽しみです。 まだ残ったHF帯HAMバンドもありますがアンテナ製作とモバイルのお話は一旦おしまいにします。バンドが追加できたら改めて紹介しましょう。
 車載アンテナは「システム」であってホイップ・アンテナ単体では完結できないことを実感しました。 伏線ではありませんが各回のBlogテーマはどれも関連づけて回収できたと思っています。 ここを見ているのは電子部品や回路趣味のお方が殆どでしょうから興味の範囲外だったかも知れません。 しかし無線通信はアンテナがあってこそ成り立つものです。いくら優秀な通信機と言えどもPoorなアンテナでは本領は発揮し得ません。 移動運用ともなるとさらに固有の難しさも表面化してきます。 少しだけでも興味を持ってお付き合い頂けたようでしたら幸いです。

 最近は自作したアンテナであちこちの公園移動運用(POTA)を楽しんでいます。 カミさんと出かけることも多くて私は無線であちらは公園の散歩や散策を楽しんでいます。 だいたい1時間を目処にしていて、あまり長時間オンジエアすることはないので、お互いに飽きずに楽しめる程よいレクレーションになっています。 せっかく訪れた公園です。いくらか健康に良いように私も散策してから帰ることにしています。 ではまた。 de JA9TTT/1

(おわり)nm

2024年3月25日月曜日

【Antenna】Making a 40m-Band Whip Antenna

40mバンドのホイップ・アンテナを作る

abstract
I have built a 40m Band Whip Antenna. This antenna is designed to enjoy HAM by carrying a radio station in a car and moving it around. This antenna has the same structure as the 30 m band antenna introduced in two previous Blogs. Of course, the resonant frequency is different. The construction was easy as I used some parts specially designed for whip antennas. The finished antenna sounds good and radiates well. (2024.03.25 de JA9TTT/1 Takahiro Kato) 

モバイルアンテナの材料
 40m Band:7MHz帯はHF帯(短波帯)のメインストリートでしょう。ライセンスに関係なく初級局からオンジエアでき国内に満遍なく飛ぶうえ夜間ともなれば海外へも飛んでくれます。それだけに混信も激しいのですがいつも誰かがオンジエアしているので交信相手には事欠きません。

 波長:λは40mもあります。 1/4・λでも10mもあってモバイル用のアンテナは超短縮型にならざるを得ません。 それだけに輻射効率の良いアンテナは難しくなるのですが上手に作れば十分楽しめるだけのものができます。

 写真は手持ちのアンテナ製作用パーツです。 今回は活用する最後のチャンスと考えて長いこと温存していた専用の部材を投入することにしました。 茶色のパイプ状がグラスファイバ・ロッドで、以前HF帯のモバイル運用が流行ったころヘリカル巻き短縮アンテナの製作によく使われた素材です。 その下がそれに適合するコネクタ部でM型になっています。一番下は6段のロッド・アンテナで30m Bandのホイップ・アンテナに使ったものと同じです。完全に伸ばした全長は101.5cmのものです。 各部材の入手・代替などに関する情報は後ほどあります。

                     ☆

 再びモバイル用アンテナ製作の話に戻ります。 30m Bandは楽しいHAMバンドですが30mのアンテナだけではオンジエアの幅が狭くなってしまいます。これから40m Band用のモバイル・ホイップ・アンテナを製作します。やはりHF帯のメインストリートに出たいですね。 FBなアンテナができたならドライブの楽しみも広がります。
 製作するアンテナの基本構造はすでに前のBlog(←リンク)で扱った30m Band用と同じセンター・ローディング形式です。 実用的な性能が得られた実績を重視し同じ形式にしました。 もう一つの理由はセンター・ローディング形式なら設計手法が確立しているため試行回数が少なく済むからです。
 ヘリカル巻きの短縮型も面白そうに思ったのですが製作経験がないので諦めました。 従って既に前のBlogをご覧でしたらアンテナ形式そのものに目新しさはないでしょう。 しかし、もしお暇ならお付き合いください。 Somithing NEWはあるはずです。

エア・ダックス・コイルと切断治具
 40m Bnadのホイップ・アンテナでも短縮コイルにエア・ダックスを使います。 コイルはボビン(巻枠)に自分で巻いて作れるパーツですが、手持ちを温存する意味もないので積極的に使うことにします。

 型番はNo.401016で30m Bnadのホイップ・アンテナに使ったものと同じです。 流石に太めの線を巻いた空芯コイルだけあってQu=300が得られます。自作すればもう少しHigh-Qなコイルも十分可能なのですがQu=300はけして悪い数字ではありません。かなり良い性能と言えます。 活用することにしました。

 エア・ダックスの切断に使えそうなプラスチックス切断用の治具(写真手前)があったので使ってみました。 コイルの「巻き」をあまり無駄にせず綺麗に切断可能ですがそもそもエア・ダックスが手に入らないパーツなので・・・道具もあまり意味はないかも。w

40m用センタ・ローディングANTの設計
 今回は計算してから製作を始めました。 ただし設計アプリを使うためにはアンテナ・エレメントの寸法が明確でないと始まりません。
 具体的にはコイルより下側のベースセクションと上側のトップセクションの寸法です。長さと平均径が必要です。 また容量冠の有無と、もし使う場合はその寸法・構造も必要です。

 下部・ベースセクションに使うグラスファイバ・ロッド(上記写真で茶色のパイプ)は、長さ:L=140cm、元口径=1.4cm、先端径=0.55cm、肉厚=1mm程度のものです。ただし細い先端部は使いません。 コイルより上部のトップセクションは伸縮可能なロッド・アンテナ(テレスコーピック・アンテナ)を使います。 従ってグラスファイバ・ロッドは適当な寸法で切断しました。

 センタ・ローディング・アンテナの輻射効率はRF電流の腹にあたる下部セクションの影響が大です。 全長を一定とすればRF電流が小さくなるコイルより上部を長くするよりもRF電流が大きい下部セクションを長くした方が有利です。ボトムローディング形式は構造的に有利ですが輻射効率では最低と言えます。 だからと言って短絡的な考えでコイルを最頂部に置くのがベストかと言えば、そうではありませんが・・・。

参考:簡単に言うと先端に行くほど共振に必要なインダクタンスが増えHigh-Qなコイルの製作・保持が難しくなります。接地抵抗を仮定しローディング・コイルのQをパラメータとして計算すれば最適なコイルの位置が求まります)

 種々の要素を検討してグラスファイバ・ロッドは元口から82.5cmのところで切断しました。 ただし一部はコネクタ部とコイルのサポートに取られるので電気的に有効な長さは実測67cmになりました。 上部セクションはロッド・アンテナそのものなので長さ101.5cmありますが、使用時にはやや縮めて使うことを想定し96cmとして計算しています。 先端の容量冠は実際は8の字型ですが等価的に直径8cmの円形でスポークは4本として計算しました。 接地抵抗はとりあえず10Ωとしておきますので効率計算は参考値です。

 必要なローディング・コイルのインダクタンスは約42μHと計算されます。エア・ダックス・コイル:No.401016はちょうど40回巻きが必要です。 コイルのバラツキおよび計算誤差などを考慮して数回(3回)多めに切断しておきます。

ローディング・コイルの調整
 おおよそのインダクタンスは計算で求めてあります。
 エアダックス・コイルのインダクタンスは付属のチャートから求められますが、かなりラフなものです。 実際にはQメータで測定してインダクタンスを確認しておきました。(どうせタップで加減するので事前の精密な測定は必要ありません)

 上部エレメントからクリップ付きリード線を出しコイルの巻き線を摑んで共振する周波数を探ります。

 超短縮なアンテナは狭帯域になりがちです。SWRが下がり実用となるのは共振周波数付近の狭い範囲になります。ほぼスポット周波数と言えます。正確に7050kHzあたりで共振するようコイルを調整しました。 実際に使用する際は上部のロッド・アンテナ部分を伸縮させてオンジエアする周波数にぴったり合うようシビアに加減する必要があります。 もしもブロードな周波数特性を示すならその短縮アンテナの輻射効率はかなり低い可能性があります。これはご参考までに。

 コイルの調整に際してロッド・アンテナの長さは±に調整できるよう適度に縮めた状態で行ないます。 伸ばし切った状態で決めたら共振周波数を低い方へ調整できません。

ケースを被せてローディング・コイル完成
 防水・防滴構造ではありませんが多少の天候変化なら大丈夫なようにしておきます。

 コイル全体をプラスチックス製のケースに収納してあります。 このケースは200mlのサンプル容器というものです。 蓋の部分を下にして逆さまに使っています。ローディング・コイルは蓋の部分に固定されています。

 容器は適当な寸法の手持ちがあったので使いましたが100均で様々なものが手に入るので適当なものを見つければ良いでしょう。なお金属製の容器はインダクタンスやQへの影響が大きいため使うべきではありません。
 もし走行しながら使えるアンテナを作りたいなら十分な検討が必要です。 破損がないように構造や部材を吟味しなくてはならないでしょう。

 このアンテナは車をどこかに停めて半固定でのオンジエアで使うことを前提に考えています。移動運用地に到着してからアンテナ基台に装着します。 着脱で簡単に壊れないよう相応の機械的な強度は考えていますが停車した状態で使うべきでしょう。 アンテナ基台もそれほど大型ではありませんから車体への固定が十分に強固とは思えません。ある程度可能かもしれませんが大きめのアンテナを付けたままの走行は安全ではないでしょう。

コイルは発熱する
コイルのQが無限大でない限り必ずロスが発生します。5Wと言ったQRPなら発熱量はたかが知れていますが移動局の限度いっぱいの50Wも出すと馬鹿にできません。

このアンテナの場合、入力電力の約35%がコイルで熱になる計算です。Qu=300というかなり良いコイルを使っていてもそれだけのロスが発生します。 例えば送信電力:50Wとしてコイルでの損失は18Wくらいになります。これは無視できない発熱量です。

テストの段階で連続的な送信を行なったところ「共振周波数の跳躍」が見られました。 約30kHzほど上昇したのです。温度上昇によって製作時の機械的なストレスが解放されたものと考えられます。 その後は50Wでのオンジエアでも変化を感じないので安定したようです。

インピーダンス・マッチング
 C-L型のインピーダンスマッチング回路を付けました。
 この部分も30m Bandのホイップ・アンテナと同様の構造です。ただし容量値は異なります。
給電点のインピーダンスを想定して計算すると、必要な容量値は約610pFになりす。計算自体がアバウトなものですから680pFのディップド・マイカ・コンデンサで間に合わせました。 マッチング回路のインダクタンスは約0.54μHでローディング・コイルに含めることで省略できます。

 写真でアンテナ下部の構造がわかると思います。グラスファイバ・ロッドは同軸ケーブル(10D-2V)を剥いて作った網線で覆われています。

 これは下部エレメントを低抵抗に作ってロスを減らし、しかも太くすることで静電容量を大きくする目的があります。 アンテナのキャパシティをできるだけ大きくすることで、なるべく少ないインダクタンスのローディング・コイルで共振させるようにします。

 もちろん銅の網線が裸のままでは錆びてくるのでテープを巻いておきます。ビニル・テープなどではなくて自己融着テープが最適です。自己融着テープは高周波的な特性も悪くありません。自己融着テープも最近はホームセンターの電材コーナーに置いてあります。 もし手に入れば太い熱収縮チューブを使うと体裁よく仕上がります。

マッチング部の防水
 マッチング回路のコンデンサを含めてテーピングしておきます。これでコンデンサが取れてしまうことも防げます。

 この部分で意外に厄介なのはコネクタ部とのハンダ付けです。 コネクタ部分はクロームメッキされていて、普通のハンダ付けができないからです。これはコイルより上部のロッド・アンテナ部分も同じです。

 ホームセンターへ行くとホワイト・メタル用と言うフラックスが見つかります。是非ともそれを使ってハンダ付けすべきです。
 メッキを剥がす方法もありますが材質によっては母材にハンダ付けできないことがあります。 機械的にカシメても良いので確実な接続ができるようにします。高周波回路は接触不良を嫌いますから効率低下が起こらぬようにしたいものです。

 (注意:フラックスは酸化性が強いので残存していると錆が出ます。十分な洗浄を!)

10MHzと7MHzのWhip Antenna
 完成した7MHzのアンテナを並べてみました。左が先に作った10MHzで右が7MHzです。 基本的に同じ構造ですので良く似ています。

 写真ではわかりませんが後から作った7MHzは改良された箇所がたくさんあります。 やはり2つ目の製作ともなると最初の経験が活きてきます。 部材も残り物の間に合わせから専用品に代わった部分もあって作りやすさにも違いがありました。

 ローディング・コイルのサポート構造は特に進歩した部分です。 10MHz用は主要部分をエポキシ系の接着剤(アラルダイト・ラピッド)で固定し、材質的にエポキシ系で無理があった所をセメダイン・スーパーXという万能接着剤で固定していました。全面的に接着剤に頼る方法です。 7MHz用ではエアダックス・コイルの構造に着目し蓋の部分に樹脂のセパレータ(4本)に合わせた穴加工を行なって固定しました。接着剤は要所に必要最低限だけです。機械的な強度はずいぶん向上し、見た感じも良くなっています。

 まったく異なるタイプのアンテナを作ったほうが自作としては面白いのですが、同じ構造なら製作経験を活かすことができ改良に繋がります。実用品を作るという趣旨から言えば悪くない選択だったのではないでしょうか。

車載した様子
 写真は車載した様子です。コイルより下部のベースセクションが長くなったため10MHzにも増して印象的になりました。

 全長は約182cmあります。 装着して走行することはないので支障はないと思います。 コネクタ部分が専用品になったのでベース部分の機械的な強度はずいぶん向上したと感じます。 長くはなっても安心感はアップしています。

 写真では見えにくいですが頂部に8の字型のキャパシティ・ハット(容量冠)が付いているのも10MHzのホイップANTに同じです。

磁石アース板
 周波数が低くなったことからボディーとの結合容量の不足が気になりました。 写真のように小型版(強磁力の方)を2枚使って調整していたのですが、A4版の大きい方を追加してみました。

 多少の変化は見られますが大きな違いはないことがわかったので現在は写真の状態で実用しています。 もちろん磁石アース板なしでは不安定なうえ調整も狂ってしまいまったくダメです。(笑)

7MHz Whip Antennaの共振特性
 写真はnanoVNAで観測した7MHzホイップ・アンテナのSWR特性です。7.0MHzを中心に±500kHzの範囲で観測しています。

写真を見ますとSWRが低くくて使用可能な周波数帯域幅はたいへん狭くなっています。 スポット的と言っても良いでしょう。 高い輻射効率を狙ってできるだけロスを減らした短縮アンテナはかなりHigh-Qになります。 そのため実質的に共振周波数付近のごく狭い周波数範囲でしかオンジエアできません。

 FT-8やJT-65(廃れましたが・笑)のようにスポット周波数で運用するモードなら運用中の支障はまったくありません。 CWの場合はCWバンドの低端と高端ではかなり離れているため運用周波数に合わせてアンテナ先端の伸縮により微調整する必要があるでしょう。 同様にSSBでも実際に使う周波数に応じた微調整を行なえば良好な輻射効率でオンジエアできます。
 全長は約182cmと10MHz版より30cmくらい長くなっていますが、1/4・λに対する短縮率は約83%と(=17%の長さしかない)むしろ「小さなアンテナ」になっています。そのため輻射効率も少し低下しています。これが現実的なサイズなのでやむを得ないと思います。 あとはうまく電波が飛んでくれたら良いのですが・・・

 帯域幅が狭く効率も低いのは超短縮アンテナにならざるを得ないHF帯移動運用の宿命と言えます。 こんなことを書くと混乱するかもしれませんが「アンテナのQは低いほどFB」なのです。しかし損失が大きくなるような方法でLow-Qにしたのでは意味がありませんけれど・・・。おわかりでしょうか?(笑)

テスト・オンジエアの様子:FT-8
 近くの空き地で移動運用のテスト・オンジエアです。 何かあってもシャックにすぐ戻れるごく短距離の移動です。

 共振周波数の調整がやや甘かったのですが、まずまず良く飛んでくれました。 

 CQを出したところ数局に呼んでいただけました。 コンデイションの影響もあるとは思いますが、約83%短縮という超短縮アンテナでも十分な実用性能が得られています。見かけスマートな市販ANTよりも効率はずいぶんマシでしょう。

 移動運用には様々なスタイルがあります。ポータブルなQRP機を持ってフィールドに出かけて波を出すのは楽しいものです。私もFT-817なら持ってます。 しかし弱すぎる波では交信相手はだいぶ苦労するでしょう。 私の希みは:たとえ移動運用の貧弱な設備ではあってもできるだけ良い波を出したいのです。 なるべく楽に交信して頂きたいと思っています。 ですからあえてQRPには拘らず事情が許せば法定内で可能なだけのパワーを出しアンテナ系の輻射効率も極力高くありたいのです。 アマ無線は交信できてこそ無線通信です。せっかく出かけた移動運用がボウズじゃ悲しいじゃありませんか。hi

参考:QRPpでkm/Wを競うにはPOTAではなくSOTAが向いています。V/UHFなら標高で飛距離を稼ぐことができるからです。短縮なしフルサイズのアンテナやビームアンテナも使えます。HF帯よりノイズや混信が少ないのも有利です。

PSKRでも飛びを確認
 トランシーバの受信感度には20dB(電圧で10倍、電力で言えば100倍)以上の余裕があってかなり低効率なアンテナでもよく聞こえるのが当たり前になっています。そうでないと耳の悪いトランシーバと言われてしまいます。w

 しかし送信で20dBの余裕は容易ではありません。アンテナのロスを見込んで100倍のパワーに・・・など非現実的です。アンテナの数%の効率の違いに拘るのはそのためです。その数%が飛びには大いに影響します。

そのアンテナを繋いでみたらよく聞こえるからと言って、それはまったくの気休めに過ぎないかも知れません。本当のことは送信した時にわかります。

 飛び具合の確認のために7041kHzでオンジエア・テストしてみました。 7041kHz/FT-8は基本的にJA局のみがオンジエアしています。 これはバンド使用区分からやむなくそうなったものと承知しています。

 従って受信レポートは海外局からは得られません。 たまたま韓国に1局だけ7041kHzをワッチしていた局がいたようです。 他の日のテストでも国内各局にまんべんなく飛んでくれたのでこのアンテナはかなり旨くいったと言えるでしょう。 もちろん短縮なし・フルサイズの固定局のアンテナと比べちゃいけませんけどね。(笑)

 こんどは夜間のDXタイムを選んで7074kHz/FT-8でテストしたいと思います。果たしてどれくらい飛んでくれるでしょうか。(現在は7074kHzで国内局を呼ぶことも可となりましたが、JAどうしの交信は7041kHzがメジャーなようです。DXerには有難いことです)

                     ☆

 似たようなアンテナを作るだけですから作るつもりのない人には面白味に欠けたBlogだったでしょう。 寸法図など諸元は省略しましたが、もし参考資料としてご入用でしたら連絡いただけたらと思います。 逆に本当に作ってみたいお方にとってはまだまだ情報不足を感じるはずです。
 わからない部分は具体的にお尋ねになってください。私のわかる範囲で返信差し上げます。 製作工程を一からすべて教えろとか、費用を出すから代わりに同じものを作ってくれ等のご要望には応じかねます。 製作例は参考に過ぎないので、あとはみずからも考え、工夫し、手を動かし、完成させてください。 きっと旨く行きます。(笑)

 調べてみて驚いたのですが、このアンテナ製作で使ったグラスファイバ・ロッドとそれ専用のM型コネクタ部は現在でも入手可能でした。製作に使ったものは25年以上も前に手に入れたものだったからです。

 先端部のロッド・アンテナは昔HAMフェアで購入したもので同じものの入手は難しいかも知れません。 6段式で伸ばした全長は101.5cm(ネジ部含む)、収縮時の長さは20.3cmです。元部分の太さは7mmあります。 長さは少々違っても支障ありません。コイルのタップ位置をわずかに動かせば共振できます。 上記の寸法にこだわることなくネット通販など手に入り易いものを使いましょう。3段式で50cm程度の物でも十分です。

 エア・ダックス・コイルの代用は幾らでも可能です。 塩ビやアクリル樹脂のパイプに巻いて所定のインダクタンスが得られるように作ればOKです。 理想を言えば内径85mmのボビンにφ1.6mmの巻線を巻き幅60mm(ピッチ約2.9mm)で22回巻くとHigh-Qなコイルが作れます。さらに2〜3回余分に巻いて調整の余裕を持たせます。 密着巻きではなく必ずスペース巻きで作ります。 密着巻きでは巻線相互の「近接効果」のためQが上がりません。(重要なノウハウ・笑)

写真は「さきたま古墳公園」(埼玉県行田市:POTA JP-1178/JCC-1306)でオンジエアした際のものです。 自作した7MHzホイップ・アンテナは各地のPOTA運用(←リンク)で存分に活躍してくれています。 たくさんのQSOありがとうございます!  ではまたどこかの公園から。 de JA9TTT/1

つづくfm